大規模災害が発生したら、あなたの愛するペットは――。四日市市常磐地区が昨年末開いた「避難所設営訓練」の中で、飼い主がペットと一緒に避難することを想定した「ペット同行避難訓練」も行われた。過去の災害で、ペットを巡るトラブルも発生していることから、住民らが避難所での受け入れ方法を確認した。【愛犬のリードを杭につなぐ橋本さん。小型犬はケージの中に=四日市市松本で】
同地区では、飼い犬が約1500匹登録されており、4回目の同訓練を実施するに当たり、「ペット対策は急務」と、地区防災協議会が市保健所に協力を依頼。基本的には室内に入れられないため、会場となった常磐西小(同市松本)の体育館東側にテントを張って専用スペースを確保し、排泄(ルビ・はいせつ)場所も決めた。
12月8日の訓練では、地域住民320人が災害発生直後の混乱時期を想定して模擬避難する中、4人の飼い主がそれぞれ犬を連れて参加した。犬は杭につながれたり、ケージに入ったまま訓練の時間を過ごしたりしたが、飼い主と離れがたい姿も見られた。
愛犬のメロス(雄11才)と参加した同市ときわの橋本智久美さん(56)は「鳴き声が聞こえると心配になった。外につながれたまま、というのも気になる。かといって人に迷惑はかけたくない。どうしたらいいのか」と戸惑っている様子だった。
市保健所の獣医師・神谷紫珠子さんは、ペットの災害対策を記した「ペット手帳」を飼い主たちに配布した後、「災害時は人の安全を確保した上で、ペットと一緒に避難する。そのために普段から『待て』『おいで』などをしつけておき、人やケージに慣れさせておいてほしい」と呼び掛けた。
同協議会の木寺秀臣会長(73)は「避難する際の問題点を経験してもらえた。今後も積極的に訓練に採り入れていく」と手応えを感じていた。
(2020年1月11日発行 YOUよっかいち第177号掲載)