小学生が「宝物」の思い出を90分で演劇に 「こども四日市」実行委の学生が指南

【観覧した保護者らの前で挨拶する参加者とこども四日市演劇部メンバー】

 四日市市諏訪栄町のすわ公園交流館で3月9日、小学生を対象としたワークショップ「はじめてのえんげき」が開かれ、小学3年~6年の児童3人が何もないところから短時間で演劇を創作する体験に取り組んだ。「こどもがつくるこどものまちイベント」を主催する「こども四日市」実行委員会で学生を中心に運営する「GOLD市民会議」有志が結成した「こども四日市演劇部」が企画。さて、90分足らずの制作時間でできあがった作品とは――。

テーマは「宝物」

 最初は輪になって自己紹介。講師を務める演劇部メンバーの星野洸也さん(19)、小原綾さん(18)、圡屋有彩さん(18)の主導で、それぞれの宝物について順に話し、気になった点には質問を投げかけていく。
 
 林咲羽さん(小5)が「クリスマスにもらった黒猫のぬいぐるみ」を挙げると、「サンタクロースにもらったの?」「何年前?」。最年少の安治川桃花さん(小3)は緊張した面持ちで、持参したお気に入りの「おねだりして買ってもらったバッグ」を掲げてみせた。

【PM1:00開始、最初の30分は自己紹介と宝物について話す時間】


◆誰の宝物で劇作するのか決定

 話し合いの結果、生川結花さん(小6)の「修学旅行で友だちとお揃いで買った幸運の勾玉のキーホルダー」のエピソードを採用することに。ホールを広く使い、「登場人物は?」「誰がどの役をする?」「修学旅行のどの場面を切り取る?」「セリフは?」「動きは?」と徐々に内容を具体化していく。

【PM1:40、劇作スタート】

【PM1:50、配役と最初のシーンが決まった】

◆演劇っぽくなった瞬間が到来

 土台を決める作業の間は、はた目には「これがまとまるのだろうか?」と思えるような時間が刻々と過ぎていた。ところが、制作開始から30分が経過した頃、演劇らしさが垣間見えてきた。担任の先生役をしながら演技指導を担った小原さんは、この時のことを「時計を見る余裕ができた」と話す。

 いくつかのシーンが固まり、それぞれのパートの演技やセリフに息が吹き込まれたことを、講師陣をはじめ、参加者や見学者も実感していた。子どもたちの緊張はすっかり解けて、積極的にアイデアが飛び出すようになり、作品は完成に向けて走り出した。  

【PM2:20、演技をブラッシュアップさせていく】

◆2分30秒の作品、できた!

「短い時間でとても濃い作品を作ってくれました。楽しんで見てください」。ワークショップの終わりに舞台監督を努めた圡屋さんが挨拶し、スマホのカメラなどを向けた保護者らを前に開演。子どもたちとサポートスタッフは2分30秒の「えんげき」を披露した。

 自身のエピソードが作品の基になった生川さんは、お揃いのキーホルダーを買った友だちの役を演じた。「最初、思うように声が出なくて苦労したけど、できあがって楽しかった」、生川さんの役をした林さんは、「キーホルダーを一緒に買ってハイタッチしたシーンは自分の事みたいにうれしい気持ちになった」と笑顔で話した。後半でセリフの改善点や、ラストシーンの設定などたくさんのアイデアを出した安治川さんは、「自然に色々思いついた」と満足した様子だった。

【PM2:50、保護者の見守る中、発表が始まった】

◆「こども四日市」でやる「えんげき」として

 ワークショップを終えた演劇部メンバーは、「以前から提案していたことが叶った。子どもたちと一緒に作る、これがやりたかった形」(星野さん)、「日常会話ほどフラットじゃないけど、ハッとする場面を切り取った構成。思い出を再現するんじゃなく、基にして創造することができた」(小原さん)、「こちらの指示ではなく、子ども主体で作るということ。やりたいと言ってくれたことを整える役割に徹したい」(圡屋さん)と語った。

【左から小原さん・圡屋さん・星野さん】

◆こども四日市えんげきワークショップin近鉄百貨店2025 開催決定!

 6月22日(日)午後1時~同3時、近鉄百貨店四日市店11階アートホールでも同ワークショップが開かれる。対象は小学生で、参加費は500円。問い合わせ・申し込みは、こども四日市事務局℡080・3670・3868(プロジェクトリーダー小林さん)へ。
 
 今回のワークショップのドキュメント映像は(https://www.youtube.com/watch?v=iOUvjanRsIM)で視聴できる。

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