三重県の四日市市議会は12月10日、一般質問があり、命を守るための家屋の耐震策、津波避難ビルの自動解錠ボックスの扱い、長期休暇中の子どもの預け先をどう確保するか、などについて質疑があった。
新風創志会の山田知美さん、辻裕登さん、早川新平さんと、無会派の今村厚美さん、市民目線の会の水谷一未さんの5人が質問に立った。
〇津波避難ビルの自動解錠、常時開放には?
早川さんは、市の沿岸部に確保されている津波避難ビルのうち、小中学校に設置された屋上へと続く外付け階段などの鍵(かぎ)について質問した。四日市市では海岸線から4キロまでの小中学校で「自動解錠ボックス」があり、震度5弱以上で自動的に階段入り口などの鍵が開くようになっているという。
早川さんは、最大震度6弱の地震が日向灘であった8月、宮崎県延岡市の津波避難タワーで、震度5弱以上で開く解錠ボックスが、現地の震度が4だったために開かず、避難してきた住民が戸惑うなど、避難が滞った例を紹介し、「常時開放を考えてよいのではないか」と市の考えを聞いた。
市は、津波避難ビルは日常も使われている施設でもあるため、常時開放は速やかに入れて安心な一方、通常時の防犯などの面では問題もあるとし、地元の意見なども聞きながら検討すると答弁した。早川さんは、霞コンビナート付近のコンテナ置き場について、津波でコンテナが流れ出し、被害をもたらす可能性を指摘し、何らかの対策を施すべきことも求めた。
〇家屋の耐震強化、「耐震シェルター」も選択肢に
山田さんは、耐震診断を受けたものの、耐震補強工事に踏み切らない人が一定割合いることを指摘した。費用面で迷うほか、高齢化で自宅を離れてまでの工事に踏み切れない人のために、家に住みながらでも工事が可能な「耐震シェルター」も補助できるようにすべきではと求めた。市は、補強工事で市内の耐震化率を高めることを基本的な方針として補助を実施しており、「耐震シェルター」への補助制度がかつてあったものの、申請件数が低いなどの理由で廃止された経緯も説明した。しかし、能登半島地震以降、耐震対策の重要性が指摘されており、安全のための対策として「耐震シェルター」も他部局と連携して検討したいなどと答弁した。
山田さんは、離婚などの事情で無戸籍者が増える傾向にあり、児童手当や相談業務など支援サービスを充実してほしいとも求めた。性の多様化なども考えて導入した中学の共通制服について、女子服にスラックスしか選択肢がないことが、逆に意識してしまい、着用が広がらない一因ではないかと、スカートも採用してはどうかとも提案した。
〇長期休暇の子どもの預け先悩む家庭多い
辻さんは、共働きなどが増え、夏休みなど長期休暇に子どもを預ける場所に悩む家庭が多いとして、市役所や市民センター、ショッピングセンターなどの場所を活用して子どもを預かっている桑名市の例を紹介し、四日市でも実施できないかと質問した。市は、学童など民設民営を生かすための補助制度を実施しているとの答弁で、辻さんは市のさらなる積極的な取り組みを求めた。辻さんは、電子回覧板など自治会のデジタル化を進めるための支援を考えるべきではないかとも求めた。
〇こどもの健康・発達相談、ひとり親の療育費支援
今村さんは、障害や発達の遅れがある子どもが、早く療育と支援を受けられるよう、窓口や相談などの体制を充実させてほしいと求めた。所得などによって3段階になっている障害福祉サービスの補助などについても、他自治体の取り組みなどを例に挙げ、前向きに支援を検討するよう求めた。
水谷さんはひとり親の養育費支援について取り上げ、公正証書作成費用補助の状況や兵庫県明石市が実施している養育費の建て替え支援事業などを紹介した。市は、課題の把握に努め、養育費に関する支援などについて積極的に伝えていきたいと答弁した。水谷さんは不登校問題も取り上げ、フリースクールなど多様な施設との連携を進めることを求めた。