子どもの権利条例づくりの大切さ専門家に学ぶ、四日市市議会の議員政策研究会分科会

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【子どもの権利条例の大切さを各地の例を含めて説明する早稲田大学名誉教授の喜多明人さん=四日市市議会】

 三重県四日市市議会は10月8日、議員政策研究会の「子どもの権利条例に関する調査研究についての分科会」を開き、全国の条例づくりに尽力している早稲田大学名誉教授の喜多明人さんから話を聞いた。喜多さんは、条例づくりは未来を担う子どもにやさしい街をつくることにつながり、今やこの条例が地域の生き残りを決めるともいえる存在だと説明した。

 喜多さんは、子どもの権利条例をつくるうえで重要な①なぜ、要項や計画ではなく条例なのか②条例によって、子どもが自分らしく安心して生きる権利を実現する③条例づくりのきっかけはさまざまだが、子どもや学校、福祉施設、家庭など子どもの支援者となる多くの関係者が参加してつくることが大切、などとする3つのポイントを挙げた。

 計画などではなく条例にする重要さについては、自治体では首長の交代などがあり、政策が大きく変わることがあるため、乳幼児から思春期までの切れ目のない子ども支援を安定的に進めていくことができる仕組みづくりとして必要なこと、さらに、国、県、市などの重層的な支援を実現するためにも必要だとした。

 議員からは、「どこまですれば子どもの意見が反映できたと言えるのか」との質問もあり、喜多さんは「大切なのは、みなさんが子どもの中に出かけていって意見を聞くこと」と話した。「条例づくりが川崎市で始まってから約25年になるが、その当時に参加した子どもたちは、今、役所やNPOなどの中心人物になって地域に貢献してくれている」と条例づくりのもたらした地域への効果を挙げた。

 喜多さんの説明では、子どもの権利条例は2000年12月公布の川崎市子どもの権利に関する条例から始まり、現在、全国約70に増えた。三重県では2006年3月に名張市子ども条例、2015年6月に「みんなと一歩ずつ未来に向かっていく東員町子どもの権利条例」が公布されている。四日市市議会ではこの分科会などでの研究を重ね、条例づくりの方向性などを具体化していく方針だ。

 講師を務めた喜多明人さんは、子どもの権利条例総合研究所顧問(前代表)やチャイルドライン支援センターアドバイザーのほか、学校改革や学校外での学びの場づくりでも活躍。条例づくりでは神奈川県川崎市、愛知県の高浜市、日進市、知多市などを支援。現在も東京都小金井市子ども子育て会議委員を務めている。