三重県の四日市市議会は10月2日、一般質問の最終日で、認知症の危険因子になるとされる難聴の対策に補聴器購入の助成を求める質問や、市のパートタイム会計年度任用職員の待遇改善を求める質問があった。無会派(日本共産党)の太田紀子さん、村上暁さんの2人が質問に立った。
〇認知症予防に難聴対策は重要
太田さんは、加齢などによる難聴が認知症を引き起こす危険因子になることが分かってきたとし、市が補聴器購入への助成を考えるべきだと求めた。県内では朝日町や南伊勢町など、全国では300を超す自治体が助成策を採用しており、今年度から支援を始めた自治体も70を超えたことを紹介した。
市側は、医学界の最近の研究や厚労省の調査などで、難聴と認知症の関連がはっきりしてきたことなどから、対象高齢者や支援額などについて検討し、関係機関との連携も進めながら制度化を判断したいと回答した。
太田さんは、熱中症対策としてのエアコン購入費への支援も求めた。熱中症の救急搬送件数も増えているが、生活保護世帯が支援を受けられる条件は厳しく、生活保護を受けない低所得者層では市独自の支援策はなく、貸付制度の紹介などにとどまっているという。太田さんは、期間限定ながら1世帯あたり最大10万円を助成した東京都墨田区の施策などを紹介し、市も取り組みを進めるよう求めた。
〇待遇改善をめざす方向性は市側も一致
村上さんは、市の職員の約4分の1を占めるパートタイム会計年度任用職員の待遇改善について質問した。地方公務員法が適用される一般職の地方公務員で、常勤よりも短い勤務時間の契約を結んでいる職員だが、村上さんは、総務省の通知では、人事院勧告と連動し、給与表にひもづいた給与額のあり方を求めており、それに沿えば、時間単価は1286円となり、現在の市の1030円に比べ約250円の差が生じると指摘した。このため、総務省通知に沿ったやり方で待遇を改善できないかと求めた。
村上さんは、四日市市と人口などが同格の50市について調べ、9割にあたる45市が総務省の通知に沿う決め方をしており、そうでないのは四日市市を含む5市だけになっているとも指摘した。市側は、四日市市ではこれまで人事院と連動しない形で、近隣自治体の状況や職員団体との協議などを経て検討してきた経緯があることを説明。急な制度の変更は、近隣自治体への影響も大きいとした。これまでも、近隣自治体に比べて待遇は厚く設定されてきたことも紹介した。しかし、市側は、最終的には総務省通知に沿う形であるのが望ましいとの考え方も答弁し、検討を進める方向性を示した。