今だけの最愛の時を写し取る、写真スタジオ「cotonohana.photo」の小林千奈さん

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【専用のスタジオで母子を撮影する小林千奈さん】

 同じ時は二度とない子どもが成長する姿。今だけの可愛い表情を写し取り、親子の語らいの中心にあるひとこまとして提供する。四日市市の「cotonohana.photo」はそんな写真スタジオだ。

 フリーランスフォトグラファー小林千奈さん(39)が起業したのは2022年1月。個々のお客様の要望に合わせた空間の中で、リラックスして撮影に臨んでほしいと考え、専用のスタジオを2023年7月に開いた。

 実家の木造住宅を改装した温かみのある部屋。小さな椅子やドライフラワーなどを希望に応じてアレンジでき、その日の撮影のためだけの空間にして、主人公の子どもや親子を迎えている。

小林さんの作品のひとつ。母子のリラックスした様子が伝わる=提供写真

 京都造形芸術大学で映像や舞台芸術について学んだ。四日市に戻り、修学旅行などのアルバムを撮影、制作する会社のカメラマンになった。3年後、写真スタジオの求人に応募し、撮影などの仕事を9年ほど続けた。その間、結婚し、6歳と4歳の2児を子育て中だ。

〇自身の子育ての体験が独立へつながる

 子どもにカメラを向ける小林さんは、とても楽しそうだ。笑顔だけでなく、泣いた顔、困った顔、それぞれの表情が二度と撮れない宝物だ。お母さんと一緒で安心する子どもの表情に、小林さん自身が癒されている。

 小林さんは、長男が生後1カ月になる前、初めての育児で寝不足が続き、気持ちに余裕がもてなかった。そんな時、長男の成長を毎月撮影して写真に残すことを始めた。背景などの作り込みにも夢中になり、育児の大変さをしばし忘れた。スマートフォンの待ち受けにしたわが子の笑顔に慰められた。「子育てをがんばっている世の中のママたちにも、きっと癒しになるのではないか」と思い、フォトグラファーとしての独立を計画。「ウーマン起業塾よっかいち」を受講し、2021年11月、はじめての活動となるフォトブース撮影会で踏み出した。

小林さんの作品のひとつ。全体の雰囲気も大切にしている=提供写真

〇基本、撮影は1日1組で、希望を形にする

 スタジオ名にある「cotonohana」は、和装の花飾りになる「つまみ細工」を趣味にしたころから使っている一種の屋号。基本、1日1組の予約で、気兼ねなく写真を撮ってもらう。生まれてすぐの姿を記録する「ニューボーンフォト」から、誕生日など記念日の撮影、家族写真など、公式LINEでやりとりを何度もして、お客様の希望をどう実現するかに心を砕いている。

 撮影の安心のため、スタジオの住所は非公開で、予約のお客様にだけ伝えている。電話070-9059-2060。ホームページやインスタグラムもある。10月以降はハロウィーン撮影会、年賀状撮影会、クリスマス撮影会を企画していく予定だという。

小林千奈さん。スタジオの扉の前で