ミュシャ展始まる、日本初公開の作品も多数、パラミタミュージアムで作家の多彩な顔を紹介

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【サラ・ベルナールの有名な演劇ポスターが並ぶ会場=三重県菰野町大羽根園松ケ枝町】

 三重県菰野町のパラミタミュージアムで8月3日、岡田文化財団設立45周年記念の「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」が始まった。有名なサラ・ベルナールの演劇ポスターのほか、初期の挿絵や装丁画、商品などのプロダクト・デザイン、オリジナル絵画などを展示し、先駆的な多様性をもつ作家の顔を紹介している。9月29日まで(会期中は無休)。

 今回の作品は、ミュシャの生家近くに住む医師ズデニュク・チマル博士が祖父母、両親から引き継いだ親子三代にわたるコレクションからのもので、チマル・コレクションでは過去最大の約170点で、さらに、このうちの約90点が日本初公開になるという。書籍の挿絵、ポスター、装飾パネル、宝飾品、油彩画、水彩画、素描など、ミュシャの芸術の全貌にふれる幅広さだという。

装飾皿「ビザンティン風の頭部:ブロンド」

 ミュシャは、現在のチェコ共和国モラヴィア地方のイヴァンチッツェに生まれ、20代後半にパリに移ると、サラ・ベルナールの演劇ポスターが評判を呼び、アールヌーヴォーの代表的な画家として大成功を収めた。画家としてはもちろん、商品デザインなどを含む幅広い世界で活躍しており、今回の展示では、若いころの挿絵や商業デザインなどの仕事ぶりを見ることで、ミュシャの多彩な才能を知ることができるようになっている。

装飾皿「自然」と郵便切手箱(右)

 期間中の8月18日午後2時から、公益財団法人ひろしま美術館学芸部長で本展監修者の古谷可由さんが「アルフォンス・ミュシャ マルチアーティストの先駆者」と題して記念講演をする。9月1日午後2時からは、四日市市出身の佐藤愛さんのピアノ演奏で、パラミタコンサート「ミュシャと紡ぐ音楽の物語」が開かれる。

 パラミタミュージアムの入館料は一般1000円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。