バナナチップスの見る夢は? 「いつか三重県のお土産に」、主婦から起業の塚本奈美さん

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【レンタルキッチンでバナナチップスをつくる塚本奈美さん】

 フィリピンの家庭の味のバナナチップスが、四日市市などのマルシェでいつも完売の人気になっている。主婦だった塚本奈美さん(45)が昨年3月に起業した「bananawave(バナナウェーブ)」の商品だ。「今は三重の土産といえば赤福だけど、いつか、バナナチップスだねと言われたい」と夢を語る。

 多くのバナナチップスは1ミリ強の厚みがあって、カリっと硬め。塚本さんのチップスはとにかく薄い。0.数ミリ。薄焼きのポテトチップスのようにサクッと味わえる。調理用バナナが青くて硬いうちにスライスし、ココナツオイルで揚げる。

〇1日中火の前に立ち、つくる日は体重も減る

 バナナは温度が上がるとすぐに熟してしまい、柔らかくなってスライスできなくなる。日本の油では温度がすぐに下がってしまうそうで、ベチャっとした食感になるという。塚本さんはレンタルキッチンで揚げているが、実際に販売する一袋80グラムずつで揚げ、この作業を1日に150回ほど繰り返している。朝から夕方まで火の前に立ち、汗をかいて体重も減る。油の温度調節に神経を使い、歯を食いしばってセラミックが割れたことも。

できたてのバナナチップス

 神奈川県生まれ。結婚して四日市へ来て2人の子育てもした。夫がフィリピンの工場に勤務した時、親しくなったフィリピン人家庭のお母さんのチップスを夫が土産に持ち帰っておいしいと思い、動画で作り方を教えてもらった。時々、自分で作っていたところ、「おいしい」「これは売れる」などと友人に褒められ、「ウーマン起業塾よっかいち」で創業の心構えや利益の出し方を勉強した。ちなみに、フィリピンのバナナチップスも普通は厚めで、このお母さんのだけ薄いのだという。

〇「バナ子さん」で知られ、人との輪も広がる

 四日市市内だけでなく、県外へも出かけ、マルシェに店を出している。味はプレーン、シュガー&ソルト、シナモン、チョコ、抹茶チョコの5種で、店の前にはいつも列ができている。「味には自信があるので、とにかく知ってもらうことに全力をあげた」。マルシェの出店情報はインスタグラムなどで発信。店先には試食用のチップスがいつも置いてある。

マルシェで出店する塚本奈美さん。おかげさまで、いつも完売とか

 たまたま出会った人にチップスを見せたところ、「あなたはバナ子ちゃんなんだね」と言われ、自分でも「バナ子です」と言うようになった。本名よりも「バナ子」で通っている。仕事を始めたことで、人との付き合いが広がり、清掃活動や地域のマルシェなどに参加している。

 7月28日、四日市市ときわ5丁目の「jolity COFFEE(ジョリティーコーヒー)」などで4回目の「ときわマルシェ」(第1部午前9時~午後1時、第2部午後6時~8時)を開く。第2部で大ビンゴ大会を計画するなど、1日を通して子どもたちが遊べるひとときを仲間たちとつくる。