四日市市昌栄町の市温水プールを改築する建築、建築電気、建築機械設備の3件の工事請負契約締結案が、市議会産業生活常任委員会での審議の結果、賛成少数で否決された。温水プールの改築には昨年来、内容に関して市議から厳しい指摘が出されてきた。議案は7月2日の本会議で委員長報告のあと審議される。
産業生活委員会が開かれたのは6月20日で、市が提出した締結案3件は、これまで市が債務負担行為の限度額として説明してきた合計26億6800万円から、合計20億651万円の入札予定価格へと金額が6億円余り圧縮された。具体的には建築工事で約4億2000万円、建築電気工事で1億8000万円、機械設備で約6000万円、それぞれ安くなっていた。
市側は、具体的な工事契約に向け、杭に関する工法や本数の低減など、見直すことができるところを見直した結果と説明した。しかし、債務負担行為限度額の段階からの価格差が大き過ぎるとして、委員からは「どうしてこうなったかを説明する必要がある」と、市側への質問が相次いだ。
委員からは、桑名市に計画されている観客席つき室内プールが平米単価76万円余で、四日市市の同102万円余(債務負担行為限度額時点では140万円余)は高額だとする指摘や、富山県魚津市の室内温水プールは四日市市とほぼ同じ規模なのに事業費約18億円で、やはり四日市市の方が高額などとする指摘があり、市の検討の妥当性を問う意見もあった。時代に合わせた施設として、プール内の可動床設置や、体を温めるジャグジーの設置などが盛り込まれなかったことへの批判もあった。
委員からは、「今議会で議論すべきは、仕様の話ではなく、契約についての妥当性であり、議論の観点がずれている」などとして、議案に賛成する意見もあったが、採決の結果、委員長を除く7人の委員うち、議案に賛成したのは3人で、賛成少数で同分科会としては3件を否決すべきものと決した。
市の温水プールについては、水深が約130センチあるなど、一般市民の利用でウォーキングなどに使うには深すぎることや、小柄な子どもにも深く、使い勝手が悪いなどの指摘がされてきた。水底板を使って深さを調節する方法はあるものの、過去に同板の下に潜り込んでしまう事故が起きていることや、同板を用途に応じて出し入れすることには相当な労力が必要で現実的ではないとの指摘もあった。