アヘンやヘロインといった麻薬の原料となる植物「ケシ」が、四日市市内で数多く見つかっている。はっきりとした原因は分かっておらず、市は発見したら通報するよう呼び掛けている。
ケシの仲間は、春から夏にかけて色鮮やかで美しい花を咲かせるものが多く、ヒナゲシなど植えても良い園芸用のものがある一方、薄紫や赤の花を咲かせる「セティゲルム種」、赤やピンク、紫などの花を咲かせる「ソムニフェルム種」などは法律で栽培が禁じられている。
厚生労働省によると、違法なケシの除去数は2023年度、三重県が5万5719本で全国2位だった。四日市市は、2万4087本と県内の半数近くを占める。
市保健所によると、市内で違法な栽培が疑われるケースは確認されておらず、主にセティゲルム種が各地域で自生している状況。小さな種が風に流されるなどして自生していると推測されている。近年は除去活動により減少傾向にはあるものの、撲滅へは地道な活動を継続していく必要がある。
ケシは繁殖力が強く、新たな場所で見つかるケースもあり、毎日のパトロールで発見除去に努めている。除去作業は保健所職員の他、県に委嘱された薬物乱用防止指導員らが取り組んでいる。
国は5、6月を「不正大麻・けし撲滅運動」期間と位置付けているが、三重県では「県民参加による不正大麻・けしクリーンアップ運動」を4月より実施している。市保健所によると、早ければ3月下旬には「けしを見つけた」と通報が入ることもあり、早期対応による繁殖防止に努めている。
独自の通報サイト開設
市保健所は今年、通報のための専用フォームを独自に開設。グーグルマップを活用して発見場所に印を入れ、写真を添付したり、状況を記入したりして送信する。また、疑わしい場合でも通報があれば、保健所職員が現場を確認する。
市保健所の稲垣博文副所長は「目撃情報は撲滅につながるため、『もしかして』と思ったら情報提供を」と呼び掛けた。