富山環境整備と四日市市が災害廃棄物処理で協定結ぶ、同時被災を避けて課題に対処

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【災害廃棄物処理の協定に署名する森智広市長と富山環境整備の若松広明常務(右)=四日市市役所】

 富山市に本社がある株式会社富山環境整備(松浦英樹社長)と三重県四日市市が4月16日、巨大地震などの被害で生じる災害廃棄物の処理で協定を結んだ。太平洋側と日本海側の離れた両者が手を結ぶことで、同時被災を避け、四日市市で想定される最大400万トンの災害廃棄物の処理に同社の力を借りる。市によると、平常時に廃棄物処理の委託をしていない遠隔地の県外事業者とこうした協定を結ぶのは全国でも初めてという。

 協定締結式が四日市市役所であり、富山環境整備の若松広明常務取締役と森智広市長が署名などをした。森市長は「災害廃棄物は自治体にとっての大きな課題。中部地域で最大級の管理型処理場を持つ貴社との協定を大変心強く思います」とあいさつ。若松常務は「画期的な協定に当社を選んでいただき光栄です。廃棄物の処理などに携わった創業50年余の経験を活かし、全力を尽くして対応したい」と決意を語った。

協定を結んだ四日市市の森智広市長(左)と富山環境整備の若松広明常務=四日市市役所

 協定は、災害時、四日市市からの応援要請に基づき、富山環境整備が同社の施設、機材、物資、人員で災害廃棄物の撤去、収集、運搬、処分を行う。また、平時にも連携を密にし、災害に備え、応援に関する情報を共有するという。四日市市は、南海トラフ地震が起きた場合、日本海側に位置する同社が同時被災する可能性が低いため、もしもの時の災害廃棄物の処理体制が強化できると考え、同社に応援を求めたという。

 市によると、同社の保有する管理型の廃棄物処理場は1640万余立法メートルの大きさで、中部地域の他の処理施設に比べて格段に大きい。森市長は「圧倒的に受け入れ能力が高く、心強い」と話した。

 同社の説明によると、廃棄物処理事業(埋立など)、リサイクル事業(家庭からのプラスチックなど)、アグリ事業(焼却による熱や電気を利用して野菜や花を温室栽培)の三つが現在の主要な事業になっているという。