公正取引委員会は3月13日、ごま油の価格を引き上げる目的でカルテルを結んだ疑いがあるとして、ごま油メーカーのかどや製油(東京都品川区)、日清オイリオグループ(東京都中央区)、竹本油脂(愛知県蒲郡市)、九鬼産業(三重県四日市市)の4社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を始めた。関係者への取材で分かった。
関係者によると、4社は、ごま油の卸業者向け販売価格についてカルテルを結び、複数回にわたって価格を引き上げていた疑いがあるという。独禁法は複数の企業が価格や生産量、販路を調整するカルテルを禁じている。立ち入り調査は4社の本社や支店など10数か所にのぼるという。
ごま油の市場規模は年間約450億円とされ、今回の4社が市場に占める割合は非常に高いという。近年、原料となるごまの輸入価格が上がっており、生産コストが上がる中で、値下げ競争を避けたい思惑が背景にあったのではないかとの見方があるという。
公取委は、最近の原材料費の上昇が適正に価格に転嫁されることを促しているとされるが、一方で、その流れの中にあってもライバル業者が手を結んで価格を上げることは許されないとの姿勢で臨んでいると見られている。
4社のうち、四日市市に本社がある九鬼産業は「急な調査だったが、指示に従って協力し、資料も提出した。私たちもよく分からない状況だが、真摯に対応させていただく」などとコメントしている。