三重県四日市市と国立大学法人三重大学は2月16日、三重大学がJR四日市駅前に新しい教育研究拠点を設置する検討に着手し、検討作業や協議に互いに協力する目的で連携協定を結んだ。市は、駅前に大学院を備えた理工学部系の新大学を設置しようとしており、今回の三重大の検討着手は新大学の計画づくりに大きく影響しそうだ。
協定名は「JR四日市駅前における三重大学新教育研究拠点の設置に向けた検討着手の連携協定」で、協定締結式が四日市市役所で開かれ、森智広市長と三重大学の伊藤正明学長が協定書に署名した。2024年度末をめどに検討の結論を得ることをめざしている。同年度は、四日市市にとっては大学構想を具体化して設置主体や学部などの内容を定める基本計画づくりの年度にあたり、並行して影響しあうことが確実だ。
森市長はあいさつで、「三重大学との関係ではサテライトがあるが、それを超えたもの、理工系学部、大学院を誘致したい。三重大学にとっても初の津市以外のキャンパスになり、北勢にも三重県全体にも影響を与えることになるだろう」などと期待を述べた。
伊藤学長は「人材育成は地域に育てられることも大切で、北勢の商工会議所からも産学官連携の要望を頂いた。我々もこれを進めなければならないと考えている。これまでにない、ポテンシャルの高い組織を考えていければと思う」などと話した。
三重大学は工学部を中心にした新しい学部設置を検討しており、多様な学生や研究者が集い、交流する新しいインフラ(建物)の整備などが課題。今年1月12日には、四日市商工会議所や北勢地域の商工会議所、商工会から連名でJR四日市駅前への工学系の大学新設の要望を受けており、今回、新拠点への検討を始めることになった。
具体的な検討はこれからだが、三重大学側には、三重大学が単独で進出するだけでなく、行政や経済界、他の大学を含めた新しい連携による、今までにない形の大学を設けたいとの希望もあるとされる。産業集積が進む四日市市域での産学官連携が津市のキャンパスへ及ぼす効果も検討したいという。四日市市は、新大学の設置について、三重大学との協議を中心に置きながら、新しい大学の姿を描いていくことになりそうだ。