三重県菰野町の湯の山温泉で2月1日、「湯の山温泉きららのおひなさま」が始まった。温泉街の旅館やホテル、近鉄湯の山温泉駅近くのお店など11の施設で、江戸時代からの「古今雛」や、代々飾られてきたもの、町内の人から「飾ってほしい」と提供されたものなどが飾られている。3月3日まで。
温泉街の女将さんたちでつくる「湯の山温泉女将の会きらら」の主催で、湯の山温泉協会の呼びかけに応じ、それぞれの施設が玄関やロビーなどにひな人形を展示している。
旅館寿亭では、江戸時代からのブランドともいえる「古今雛」が見られる。江戸時代にやや写実的な顔立ちの人形が歌舞伎役者のようだと人気が出て、全国に広がったという。一両で米三俵が買えたころ、古今雛は一対で二両ほどの値がしたともされ、高価だったようだ。三階の食事どころ(宴会場)の舞台には、三つの段飾りの雛人形を飾っており、壮観だ。
鹿の湯ホテルでは、戦前から令和まで、家々などで続いてきた人形が飾られている。関東から菰野町に嫁いだ女性から寄せられたという人形は、戦火をくぐり抜けたもので、三人官女は手作りという。伝統と革新を併せ持つという柿沼東光作の木目込み人形もある。女将の伊藤寿美子さんは、しばらく蔵の中にしまい込まれていた人形が、毎年、展示されるようになって、表情が明るくなったように感じたこともあるという。
御在所ロープウエイの改札口にあるケース入りの人形も寄贈されたもので、平成に入ったころの作という。おひなさまの見学で温泉街を訪れる時、「湯めぐり温泉チケット」や、「湯の山温泉スタンプラリー」のパンフレットなどを持って回ると楽しみも増えるという。湯の山温泉協会などで購入できる。
おひなさまは、旅館寿亭、鹿の湯ホテル、ホテル湯の本、三慶園、グリーンホテル、御在所ロープウエイ、三峯園、希望荘、彩向陽、器屋、湯の山温泉協会の各施設で展示されている。