アートディレクター就任1年油田さん 四日市の文化芸術の行方

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【「小さな劇場」で児童を前にアフタートークする油田さん=松原豊さん撮影】

 四日市市文化会館と三浜文化会館の文化芸術事業の統括や企画運営を担う任期付市職員・アートディレクターに、津市の小劇場「津あけぼの座」元プログラムディレクターの油田晃さん(50)が就任して1年。就任時に「雑多に点在する四日市の文化的な可能性を点から面へ発展させたい」と抱負を語っていた。油田さんがけん引する四日市の文化芸術の行方とは。

 「全国的にどの館も利用者の高齢化が課題だが、三浜では若年層の利用が多い」。決定済みだった昨年度の会館主催事業をこなしつつ、両会館の様子をつぶさに見てきた油田さん。よんぶんの使われ方は限定的なのではと分析。三浜の利用者層を見逃さず、今後どこまで広げた使い方をしていくか検討したいとしている。

 このほど油田さんの企画で、演劇表現による次世代育成事業「よっかいち小さな劇場」と銘打った市内小学校へのアウトリーチが始動した。朗読劇のパッケージ公演で、表現や舞台の作り方に触れ、魅力的な作品の鑑賞経験を提供し、100人中1人でも将来芸術を志すきっかけになればと思っている。教室に簡易だが照明や音響等妥協しない劇場空間を設け、プロ俳優が出演する。1月半ばに県小と楠小で、それぞれ4年生以上向けに制作した2作を上演し、好評を博した。

【「小さな劇場」出演俳優とともに、分かりやすくトークをする油田さん=松原豊さん撮影】

 

 「一般向けには初めての落語・日舞・即興演劇・オペラ等入門講座、三浜でのリーディング公演をシリーズ化して芸術の窓口を増やしたい」と話す油田さん。「今、文化に一番必要なものは、社会的な視点。文化×教育、文化×介護など、多様化する社会にどう貢献していくか。今後5年で手を打つ自治体とそうでないところでかなりの差が出る」。人と人が文化的につながれる場を作るなどの構想を実現化するべく、我らがアートディレクターはまい進している。