三重県の四日市市議会は12月11日、本会議で4日目の一般質問があり、フューチャー四日市、新風創志会のそれぞれ3人が質問に立った。住環境や生活の安定確保、中小企業振興基本条例の新設、子育てしながら働きやすい環境、公共施設の予約システムなどをテーマに、幅広くやりとりがあった。
フューチャー四日市の後藤純子さんは、第2種住居地域に隣接する場所に中高層建築物の計画が持ち上がり、自宅内が見通されそうだと住民が不安を感じている事例を挙げ、市の条例の手引きに東京都江東区のようにプライバシーに関する定めを追加するよう検討を求めた。市は、現行の日照、採光、風害、電波障害などに加え、市の手引きにもプライバシーの明記を検討し、年度内には変更したいと答えた。
加納康樹さんは、中小企業憲章の理念を受け継ぐ中小企業振興基本条例を四日市市も制定すべきではないかと求めた。憲章は「中小企業が経済を牽引する力で、社会の主役である」などと定めており、条例は東京都墨田区、三重県、愛知県小牧市などが定め、三重県内の市町では、最近、桑名市で制定への準備が進んでいるという。
市側は、理念型の条例を制定し、それに基づいて施策を進める考えがあることは理解しているとしつつ、四日市市の産業構造の特徴から、大企業も含めた検討が必要で、市の最上位の方針である「総合計画」に中小企業振興施策はすでに定められていることから、総合計画に基づいていけばよいと考えると答弁した。加納さんは、新しい施策の先取りで、最近は桑名市の方が目立っていることなどを指摘し、前向きな検討を求めた。
村山繁生さんは、地震災害時にマンホールが液状化で浮き上がらないようにする対策について質問。市は「フロートレス工法」について説明し、すでに採用して工事を進めているとした。村山さんは、免許自主返納者への支援策についても早急な検討を求めた。
新風創志会の山田知美さんは、子育てをしながら働く環境をよくするための幾つかの施策について質問。「ファミリーサポートセンター」の状況については、独自のアンケートに基づき、知らない人が多く、知っていても利用しない人もいるなど、助けが必要な人に情報が届いていないのではないかと質問した。困っている人と、困っている人を助けたい人の出会いをつくる機能をもつセンターだが、事前講習会の参加などに困難さを感じる人もいるなど、今後も利用しやすさに努めてほしいとした。
辻裕登さんは、四日市市の公共施設予約システムについて、スマホやパソコンで利用者仮登録をしても、結局、本人証明書類を窓口に提示しなければ本登録にならないなど、利用しやすいものになっていないと指摘した。市側はシステムについては研究していくと答弁した。辻さんは、職員採用試験の時期の前倒しについても検討を求めた。
平野貴之さんは、森智広市長のベトナム訪問に関連し、経済交流の今後の考え方を質問した。市側は、セミナー開催や人的交流など、今回の訪問を活かした交流を進めたいと答えた。平野さんは、交流が続く中国・天津市、米国・ロングビーチ市と四日市市の高校生による「地球環境塾」が、国家間の関係を超えた交流になっているとし、市側も、グローバルサウスの諸国に対象国を増やすことも検討したいなどと答弁した。平野さんは、土砂崩れなどを防ぐ意味からも、新しい林業「自伐型林業」を市も導入すべきではないかと提案した。