保育の現場「人足りない」、保育士の会がアンケート結果を発表、配置基準引き上げ求める請願行動も進行中

708

【県全体の保育者のアンケートの声を発表する保育士の会のみなさん=四日市市諏訪町】

 国の保育士の配置基準の引き上げを求め、市町の議会に請願提出の働きかけをしている「『より良い保育』目指す請願運動を進める保育士の会」は12月4日に記者会見し、請願の提出状況とともに、県内の保育者に実施したアンケートの結果を発表した。アンケートでは、現在の保育士の配置人数が少ないとする声が圧倒的だった。

 会は、みえ労連、三重県保育団体連絡会や保育士経験者らでつくっており、今回のアンケートは、3月にまとめた北勢5市5町に、県内他地域分を追加し、あらためて全県分としてまとめた。公立、民間の563施設の正規非正規保育者8831人を対象にQRコード方式で実施し、回答率は12.5%、約8人に1人が回答した。

 アンケート結果によると、保育士の配置基準については、基準が年齢によって異なるものの、0歳児から4、5歳児まで、すべて「改善すべき」が大多数を占めた。

 「保育士が足りず、子どもの安全が守れない」と感じたことがあるかとの問いには、「早朝・夕方の保育時に」「散歩で」「地震・火災などの災害時に」を挙げた回答が多かった。「保育士が虐待」「送迎バスで置き去り」などのニュースがありましたが、なぜだと思いますかの問いには、「仕事に余裕がない」「保育士が足りない」とする声が多く、「職場の運営がうまくいっていない」「保育士の教育不足」などを上回った。

 「保育士の希望者が少なく、人員確保は難しい」と言われることがありますが、なぜだと思いますかの問いには、「賃金が低いから」が最も多く、次いで「休みが取れないから」の回答が多かった。

 同保育士の会は、「子どもの命を守る誇りある仕事なのに、保育に携わる人からは笑顔が消えている」と、配置基準を引き上げ、保育士らの仕事に余裕が生まれるようにすべきだと訴えている。

 同会は、配置基準の引き上げを求めて、各市町の議会に請願を提出する行動を続けており、9月議会では鈴鹿市、鳥羽市、菰野町(別途、桑名市も)が採択、12月議会では、いなべ市、東員町、朝日町、川越町、亀山市、伊賀市、伊勢市、志摩市、明和町、多気町で審議中、または審議される予定になっているという。四日市市へも提出したいとしている。

 全国保育団体連絡会の資料によると、保育士1人が受け持つ子どもの数は、日本が30人に対し、フランスでは15人、スウェーデンでは実質6人など、日本の保育の厳しい状況が浮かんでいるという。