4地点で暫定目標値超すPFOAを検出、公災害市民ネットが独自に四日市で26地点を調査

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【松岡武夫さんを中心に調査結果を発表する四日市公災害市民ネットのみなさん=四日市市諏訪町】

 各地で話題になっているPFAS(有機フッ素化合物の総称)による水の汚染を四日市市内で調べている市民団体「四日市公災害市民ネット」は11月20日、独自に水を採取するなどしていた市内26地点の水質の結果を記者会見して発表した。川や排水口など4地点で使用が規制されているPFOAが国の暫定目標値を大きく上回っており、市に「徹底した調査が必要だ」と指摘した。

 調査はおもに9月下旬の採取水で、京都大学で環境衛生などを研究している原田浩二准教授の協力を得て分析した。PFASの中で規制されているPFOS、PFOAのうち、PFOSは全地点で日本の暫定目標値50ng/Lを下回っていたが、PFOAは部田川(海蔵川への出口、中倉橋手前)で144.66ng/L、矢合川(三滝川への出口、三滝中学北)で93.00ng/L、第3コンビナート海域(ゆめくじら公園北側の排水口)で399.34ng/L、キオクシア第1排水口出口(部田川側)で125.45ng/Lの数値だったという。

 PFOAは、テフロンで知られるポリテトラフルオロエチレンを合成する添加剤、塗料のレベリング剤、水性膜形成泡消火剤、界面活性剤などに用いられていたとされ、2021年、第一種特定化学物質として規制された。

 4地点のうち、キオクシアは半導体製造の会社で、半導体の製造過程でPFASが使われていたことは広く知られているが、一方で、キオクシアも含み、半導体業界では規制に先立って問題のあるPFASを使わないようにしてきた経緯もあるとされる。また、PFAS自体が非常に分解されにくい性質をもつため、かなり以前の使用でも数値が出る可能性があるという。こうしたことから、検出された数値について、現時点で原因を詳しく特定するのは、きわめて難しいことだとされる。

 四日市市環境政策課によると、市も市民ネットから指摘された調査の拡充は検討中で、これまで海蔵川の1カ所で調べていたものを同川で2カ所、三滝川で1カ所の3カ所に増やす方向で検討しているという。市民ネットは今回の調査で市内9カ所の給水栓(蛇口)でも水を採取し、水道水の安全性について調べた。結果、暫定目標値は下回っていたものの、3カ所で約11~19のPFOSを検出したため、22日にも市水道局に数値を示し、水道の安全を確認する意味でも独自の調査をするよう求めるという。

 記者会見には松岡武夫さん、森下裕二さん、萩森繁樹さんの3人の共同代表が出席して説明した。調査では現在は規制外になっている代用化合物についても調べており、数値も発表した。