地区の文化祭で、みたらし団子をのどに詰まらせ、顔面蒼白で苦しがっていた高齢女性を、適切な処置をし救助したとして、四日市市消防団の河原田分団に所属する同市河原田町在住の会社員、伊藤万次郎さん(45)が、四日市市消防団から表彰を受けた。表彰式が11月7日、四日市市消防本部(同市西新地)で開かれ、伊藤忠夫団長から表彰状が手渡された。
分団員として活動歴は22年という伊藤さんは、10月22日に河原田小学校で開かれていた地区の文化祭へ、社会福祉協議会の一員として参加。屋台でハッシュドポテトの調理をしていたところ、来場者から「友人がみたらし団子をのどに詰まらせた」と助けを求められた。
会場内の一角で、友人らに背中をさすられ、顔面蒼白の状態だった高齢女性を見た。日頃の訓練で得た知識を生かし、まずは女性にせきをするように促したが、できないようだったため、背中を叩く背部叩打法を試みた。しかし、詰まらせた団子が出なかっため、「少し荒療治と感じたが、助けたい気持ちの一心で」と腹部突き上げ法を約5回実施。すると女性は口から団子を吐き出し、顔色が良くなり、会話も普通にできるようになったそうだ。通報を受けた救急隊員が駆け付け、処置を引き継ぎ、伊藤さんは屋台の調理へ戻ったという。
文化祭の1週間前に、地区の防災訓練があり、応急処置の指導を分団員として担当。「しっかりと見直しをしよう」と指導しながらも、確認をしていたという。実際に応急処置をしたのは初めてで、必死だったそうで「日ごろから訓練をしていて、成果が出ました。消防団としてやるべきことをしただけ」と話す伊藤さん。出身も河原田町、地域に貢献したい気持ちが強く、献血にも協力しているそうだ。
表彰式では伊藤団長から表彰状を受け取った。河原田分団の福田茂紀分団長は「素晴らしい活動をしてくれた」と讃えた。日頃から応急処置の指導に力を入れ、資料を見直すなど積極的な姿勢は、若手分団員の模範となっているそうだ。
「消防団の誇りです」と話すのは伊藤団長、「まさに訓練の賜物。消防団として他の分団の手本にもなる」と熱く語っていた。