三重県いなべ市大安町にある貨物鉄道博物館の開館20周年記念イベントが11月5日に現地で開催される。クラウドファンディングでの支援が集まり、修復作業が進む「旧関西鉄道鉄製有蓋貨車」の現時点での姿を見てもらうほか、記念グッズ販売やカレーや焼きたてパンなどの飲食コーナーも開く。貨物鉄道そのものが日本で営業を開始して150年になることを含め、にぎやかに1日を過ごしてもらう計画だ。
「旧関西鉄道鉄製有蓋貨車」は、地元の四日市で123年前に製造された国内最古級の貨車を復元している。貨車は、所々が錆びて穴も開いていたが、錆止めを塗って、さらに黒い塗料を塗って、貨車の見た目が整ってきた。最初の計画では、記念イベント当日に完成した姿を見てもらう予定だったが、修復作業には予想以上に人手や時間が必要で、途中段階だが、これまでの努力の跡を見てもらうことにした。今後、支援で得た資金なども活用し、車輪の改造、軸箱、軸箱守など床下の復元を続けるという。
記念イベントは午前10時~午後4時の開催で、三岐鉄道三岐線丹生川駅前の現地で行う。式典などはなく、イベントを楽しんでもらう計画だ。当日は、開館時間中に上下各1列車運行の予定で、20周年記念のヘッドマークを付けた貨物列車の運行が見られる。限定500セットで三岐鉄道乗車券・丹生川駅入場券セットを販売(700円)、博物館オリジナルグッズ新商品発売、津川洋行Nゲージ特別規格品「ワ5490」先行販売、貨物鉄道博物館カード配布(三岐鉄道三岐線電車での来館者限定)といったお楽しみ企画が用意されている。
貨物鉄道輸送150年を記念したJR貨物のパネル展示や、鉄道会社(三岐鉄道、日本貨物鉄道、四日市あすなろう鉄道、伊賀鉄道)のグッズ販売もあり、カレー、焼きたてパン、たこ焼き、から揚げなどの出店も予定されている。
貨物鉄道博物館は、日本で貨物鉄道が営業を開始した1873(明治6)年9月15日にあわせて、2003年9月15日に開館した。日本で唯一、貨物鉄道を対象にした博物館で、明治から昭和の貨車や機関車などを保存、展示している。原則として開館日は毎月第一日曜日。運営や展示している貨車などの修繕は、基本的にボランティア活動によって行われているという。