「国の直轄事業で海岸整備を」、国会議員らも出席し「四日市港海岸シンポジウム」を開催

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 災害に強い四日市港をつくろうと、「四日市港海岸シンポジウム~強くしなやかな四日市港をめざして~」が9月30日、四日市市のポートビルで開かれた。四日市港は特に石原、塩浜地区などで岸壁の老朽化が進んでおり、今後、国の直轄事業として整備を進めるよう国に求めていく。シンポジウムには地元選出の衆参国会議員らもほぼ本人が出席し、「将来の四日市港のため、きょうをキックオフに」と力を込めた。【基調講演を聴く参加者たち=四日市市霞2丁目】

 四日市商工会議所の小川謙会頭が会長を務める「四日市港の海岸整備を進める会」と四日市港管理組合が主催し、200人近くが参加した。組合管理者の一見勝之知事は開会の挨拶で「災害に備え、万全の態勢は取っているが、メガ台風も増えており、老朽化した岸壁は早期の対策が必要だ」。副管理者の森智広市長も「海岸整備が進む1歩となるのが今日だ。コンビナートに何かがあれば日本経済にも影響を及ぼす」と強調した。(開会のあいさつをする一見勝之知事)

 同海岸整備を進める会の小川会長は「石原、塩浜地区については直轄整備を国に求めており、今後、要望活動に力を入れる」と語った。このあと、衆参国会議員らが演壇に立ち、「一致団結して国に求めていく」などと述べた。

 シンポジウムでは東海国立大学機構名古屋大学減災連携研究センターの富田孝史教授が基調講演した。東日本大震災などを例に、津波で堤防が破壊されたとしても、地域への水の侵入を一時的に遅らせる効果を果たしていることや、気候変動による海面の上昇で、今後は、より高潮の影響が大きくなることなどに警戒を求めた。

 四日市港管理組合の経営企画部理事林寛之さんは、四日市港の特色は、市街地とコンビナートが近接し、境界が定かでなくなっていることで、そうした地域的な事情もあって、岸壁の整備がなかなか進まない脆弱さがあると指摘した。

 最後に、地元企業の昭和四日市石油の伊藤精洋さんが、社内での耐震強化対策や訓練の励行などを紹介、「地域と情報交換を欠かさないように努めていく」と話した。塩浜地区の連合自治会長も務めた今村勝昭さんは、伊勢湾台風の体験などを語り、「岸壁は住民の命、生活、財産を守る砦だ」として、あらためて国による直轄整備を求めた。