障害者や高齢者に生きがい 古民家改築でシェアハウス事業 四日市市のイシズム

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 障害者や高齢者らで、独居への不安や賃貸契約が困難な場合にも、生活を楽しんでほしいと、使用していない古民家を改修したシェアハウス「花鳥風月」が菰野町杉谷に、今年6月に完成した。四日市市高角町の介護や不動産を展開するイシズム株式会社(永石俊夫社長)の新たな事業で、三重県内では初の事例となり、国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」にも採択された。【改修された部屋に立つ服部さん=菰野町杉谷】

【事業への思いを話す永石社長】

思いのある家

 物件の持ち主は、服部舞子さん。服部さんは、以前は生活していた自宅敷地内の建物が老朽化や使用していないことから、管理に頭を悩ませていた。しかし、自分が育ち、思いがたくさんある場所をどうにか生かしたいと考えたときに同社に相談。介護事業を手掛け、空き家問題にも貢献できないかと検討していた同社と、何かの形で思い出のある家を残したいと思っていた服部さんの思いが通じ、シェアハウス事業の実現へ動き出したという。

 8月に開かれた完成見学会には入居希望者が来場、行政関係者も視察に訪れた。服部さんは建物内を案内しながら「ここはおばあちゃんがくつろいでいた場所です」など思い出も紹介。服部さんは敷地内の家に住んでいるため、入居者にとっても安心な点もメリットで、「思いのこもった家が生まれ変わって感動です」と笑顔で話していた。

楽しく生活を

 改修されたのは、1978年と86年に建てられ、使われなくなっていた平屋2棟。自然豊かな場所で楽しく穏やかな暮らしをしてほしいと「花鳥風月」と名付けられた。東棟は5部屋、西棟は6部屋ありリビング、浴室、キッチンは共用で、個室にはトイレ、エアコン、収納がある。シェアハウスにしたのは、家賃の低廉化(もあるが、誰かと一緒に過ごすことで、「楽しく生きがいをもってほしい」との思いも込められている。今後は、敷地内に農作業などができる場所を作り、販売し収入を得ることできる仕組みを作る計画となっているそうで、「一緒に暮らし、働く意欲のある人は働くことができる。楽しく生活して喜び合える空間であってほしい」と永石社長は熱く語った。

 同社では、シェアハス事業を「交響の家 プロジェクト」とし、第1弾の「花鳥風月」をはじめに、今後も力を入れていくという。

(2023年9月2日発行 YOUよっかいち第223号)