江戸時代中期からの歴史がある萬古焼の技術者を養成する「やきものたまご創生塾」第16期の初の「窯出し」が8月28日、四日市市の三重県工業研究所窯業研究室であった。4月からロクロの扱いなどを学んでいる6人の生徒が、初めて絵付けや釉薬を施して焼いた湯飲み茶碗や飯椀など約200点がきれいにできあがった。【焼き上がった茶碗などを丁寧に並べる生徒たち=四日市市東阿倉川】
陶磁器業界の将来の担い手を育てようと、萬古陶磁器工業協同組合が主催して続けている。今期の生徒は赤尾はるかさん、落合侑子さん、木谷美和さん、駒田美樹さん、鈴木佑香さん、山村百香さんの6人で、講師は陶芸家の松本尚さん。4月からの準備研修、7月からの本研修を経て挑む「初窯」だ。
素焼きした茶碗などにぶどう、竹、稲穂の絵付けをし、8月24日に研究室のガス窯に並べ、25日に火を入れた。午前9時に点火し、950度くらいになったところで酸素の量を絞って、ゆるい還元焼成をし、約1240度になった午後7時ごろに火を消し、その後、窯の室内の温度が下がるのを待ってきたという。
ガス窯のドアを開け、並べた茶碗などが取り出されると、塗った釉薬がガラス状になって、絵付けが浮かび上がるように。松本さんが「上下、左右の焼きのムラもなく、いい感じ。売りものになるくらいのいい出来」と生徒たちをほめると、研究室に拍手が起きた。(ガス窯から取り出される完成品、生徒たちはていねいに取り出し作業)
生徒のひとり、鈴木佑香さんは「素焼きの器を窯に詰めた時は、これがどうなるんだろうと思いましたが、きれいに出来てうれしいです。でも、出来ると課題も見えてきて、次の時にはもっといいものがつくれるよう、がんばりたいです」と話していた。生徒たちは今後も順にレベルの高い課題の焼きものに挑戦し、3月に研修を終える。(きれいに描かれた絵付け)