プラスチック食品トレーなどの完全リサイクルに向け、DIC株式会社と四日市市が包括連携協定結ぶ

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 三重県の四日市市と、化学製品を手がけるDIC株式会社(本社・東京)が7月5日、脱炭素社会の実現と継続的な産業振興の両立に向け、包括連携協定を締結した。DICの四日市工場ではポリスチレンを原料とするプラスチック食品トレーを製造しており、この完全循環型リサイクルの実現を目指している。今後の一般家庭からの回収ルート構築や、リサイクル社会実現への意識を四日市市民と共有したいという。【協定書を手にするDIC代表取締役社長執行役員の猪野薫さん(右)と森智広市長】

 締結式には、DICから代表取締役社長執行役員の猪野薫さん、執行役員パッケージングマテリアル製品本部長の森長祐二さん、四日市工場長の山﨑真砂志さんが出席。四日市市の森智広市長と社長執行役員の猪野さんが署名した。

 森市長は「市と企業が一体となって進め、市民の意識を高められるよう取り組みたい」とあいさつ。猪野さんは「カーボンニュートラルを2050年に目標を定め、後戻りせずにやっていくと決めたことは大きな挑戦。地球と人類が共存するため、これ以上ない機会であり、ぜひ実現させたい」などと話した。(署名する猪野社長執行役員(右)と森智広市長)

 DICは、スーパーやコンビニなどから食品トレーの回収をしている広島県福山市の株式会社エフピコと協力し、本格的な循環型リサイクルに挑もうとしている。

 白色のトレーは再利用が始まっているが、色柄付きのトレーは再生ペレットにすると黒色になり、その後の使途が限られる課題があったという。DICは、大日本インキ化学工業株式会社から社名変更した企業で、印刷インキの事業で培った経験から、着色成分を除去できるリサイクル技術を開発し、実用化することで、すべての食品トレーのリサイクルを完成させたいという。

 現在、四日市市では、ごみ焼却にガス化溶融炉を用いているため、廃プラスチックも燃やすことができ、市民は食品トレーを一般ごみと一緒に出している。DICとの完全リサイクル実現のためには、これを再び、食品トレーなどを分別して出す方式に変えるなどの取り組みが必要になる。今後の回収をどうするかについて、市は、まずは市役所などの公共施設で職員レベルから分別を始め、その後、DICと調整しながら進めると話している。