5月28日に開かれた三重県高校総体バスケットボール決勝リーグが行われ、男子決勝は県立四日市工業高校が3大会ぶりに優勝。10点差で負けていたラスト2分から逆転した熱戦を戦った選手は、東海総体、全国総体に向けて闘志を燃やしている。
県屈指の強豪の同高は、Bリーグ「レバンガ北海道」の桜井良太選手(40)や、2019年ワールドカップ日本代表で「アルバルク東京」の安藤周人選手(28)を輩出している。県総体では2019年まで10年連続42回優勝。しかし県総体はここ3年、ウインターカップは2年出場を逃していた。
新型コロナ感染症の感染拡大で度々休校になり、練習が途絶えた。練習が再開した時に「やれる時に詰め込み、教え込む練習だった」と顧問の水谷幸司教諭は振り返る。それまでの勝負強さは発揮できず、プレーが崩れると自分たちで立て直せなくなっていった。昨年度の県総体は2位、新人戦は3位だった。
今年2月からは、県外に遠征し全国レベルで戦う学校と練習試合を重ねた。水谷教諭は指示を出すのを抑えた。指示で動くのではなく、対戦相手を見て、自分たちで動く自主性のあるチームにするのが狙いだった。
県総体は平均身長180・4センチのスターティングメンバーで臨んだ。決勝では四日市メリノール学院高校と対戦。試合ラスト10分で、3点差で負けていた。水谷教諭は「あと10分楽しんでいこう」と声をかけた。ラスト2分、10点差までひろがっていたが、そこから3ポイントシュートが4本、フリースローが2本決まり、68対66で逆転優勝を果たした。
キャプテンの濱田喜真君は「メリノールに比べ絶対的エースのいない四工は、個人のスキルに頼るのではなく、全員のプレーで戦った」と話す。副キャプテンの須川翔太君は身長171センチでバスケ選手としては小柄。ラスト2分で3Pシュート2本とフリースロー2本決めた。「ディフェンスに阻まれる前にシュートを決めた」と振り返った。北角寛人君(2年)は、「ボールを持っていない時にいい動きができ、スペースを作り、ディフェンスを崩せた」と語った。
東海総体や全国総体は、私立で練習環境が整ったチームや、体格差のある留学生がいるチームが出場し、三重県代表が上位に食い込んだことはない。練習を重ね、全員で作り上げるチームオフェンスで、東海総体ではベスト4、全国総体では1勝が目標だ。東海総体は6月17、18日に静岡県で、全国総体は7月25日から30日まで北海道で開かれる。