ふるさと納税で苦戦を強いられている三重県四日市市が、ここから反転攻勢に出ようと、5月31日、「共に創る、共に潤う」の合言葉を掲げ、市内の事業者を集めた「四日市市ふるさと納税決起大会 ビジネスチャンスがここにある」を開いた。会場の四日市商工会議所ホールには既存の返礼品事業者、これからの出品に関心をもつ事業者がほぼ半々で参加。関係者らも含め約130人が会場を埋めた。【ふるさと納税への協力を訴える森智広市長=四日市市諏訪町】
四日市市は2021年に、市に寄付された額約5000万円と、市民がほかの自治体に寄付した額約8億5000万円の差額、約8億円のマイナス収支になっている。地方交付税が交付される自治体なら国から75%が補填されるが、四日市市は不交付自治体であるため、8億円がそのまま減収になる仕組みだという。
森市長は開会あいさつで、「私は最初、返礼品競争には否定的だったが、この制度が続く以上、看過できないと思うようになった」と話した。ふるさと納税をビジネスとしてみると、年間1.2倍から1.3倍で拡大している市場に匹敵するといい、事業者にとっては大きなビジネスチャンスであり、市と事業者が協力することで、ともに潤うことができると訴えた。「できれば、秋にはあらたなラインナップをそろえ、最大の商戦時期になる年末で勝負に出たい」と決意を述べた。(参加した事業者に訴える森智広市長)
このあと、四日市市が公募によって採用した、ふるさと納税・シティプロモーション戦略プロデューサー日下幸一郎さんが演壇に立ち、ふるさと納税の現状や、選ばれる返礼品の傾向や対策を紹介した。ふるさと納税は近々1兆円規模の市場になること、ネットショッピングの購買行動に対応する必要があり、①返礼品の見せ方(写真)②差別化のメッセージ③価格(寄付額)競争力への対応が成否を分けることを実例で解説した。
日下さんは、ふるさと納税寄付額ランキングで全国5位の大阪府泉佐野市を訪問したことを紹介。泉佐野市は地元の産品には恵まれていないものの、米国産の牛肉を仕入れて市内で加工、東南アジア産のエビを仕入れて市内で加工するなど、国が定めた地場産品と認められるルールを活用して返礼品の商品をそろえるなど、工夫していることを紹介した。泉佐野市の2021年度の寄付額は約130億円。四日市市は現在約5000万円だが、「むしろ、伸びしろは大きい」とした。
四日市市は、ふるさと納税の返礼品登録に関心のある事業者らからの相談を待っているという。問い合わせは四日市市広報マーケティング課ふるさと納税推進室(059-354-8525)。