現場励ます役割を、四日市市幼児教育センター開設記念でシンポジウム開く

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 三重県で初めて市が運営する四日市市幼児教育センターが4月に開設され、これを記念する「幼児教育推進シンポジウム」が5月13日、同センターで開かれた。保育園や幼稚園、公立や私立など施設の形態を区別せず、就学前の子どもたちの保育や教育を研修や相談などを通して充実させるのが設立の目的で、シンポではセンターが目指すべき姿について意見を交わした。【開会行事では開所を祝うくす玉割りもあった=四日市市東新町】

 センターは常設運営で、四日市市東新町の橋北交流会館の3階約1200平方メートルを使用し、研修室、実技研修室、図書室、相談室などを備えている。子育ての現場で働く人たちが、ここでの情報交換や研修であらたな力を得て、現場で生かしてもらうことが狙いだ。(開放感のある専用の図書室)

 開会行事では、紅白のくす玉から「夢と志を持ち」「未来を創る子どもたち」の垂れ幕が現れ、園関係者ら約80人の出席者から拍手が贈られた。センターの藤原良美所長が「1園1園を主役に、幼児教育の大切さを発信したい。つながり、語り合い、高め合う、懸け橋となるよう努める」などとあいさつした。

 シンポジウムは、三重大学教育学部教授の富田昌平さんの講話から。新型コロナで現場が疲弊して、全国的に離職率が高くなっている厳しい現状を指摘し、「現場の先生たちが元気をもらって帰れるセンターになってほしい」と話した。就学前の保育や教育と、小学校低学年の現状の教育に断絶のような状況があると語り、「乳幼児期の教育が懸け橋となり、小学校低学年の教育を変えていくことが必要だ」と、幼児教育の重要性を強調した。(パネルディスカッションを聴く参加者たち)

 講話を受けたパネルディスカッションには四日市市の森智広市長、廣瀬琢也教育長、私立幼稚園協会の松永高弘会長、私立保育園連盟の佐々木正利会長、公立園代表橋北こども園の鈴木博子園長らも参加した。松永会長は「現場は多忙で、それだけに、研修にしても先生たちが望むニーズをとらえることが必要だ」と注文した。廣瀬教育長は、給食の時間の「黙食」や、マスクで表情を読み取れない状況が続いたコロナ禍の影響が今後どう出てくるかが、学校教育現場の課題になっていることなどを紹介した。森市長は「この場に公私に関係なく園の関係者が集っているだけでも意味は大きい」と、センターの役割への期待を語った。センターでは、市内100余の保育園や幼稚園などの全幼児教育保育施設の活動を紹介したパネル展示もし、参加者が熱心に見学していた。(活動紹介のパネル展示)

 

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