三重県四日市市は3月28日、「四日市コンビナート2050年カーボンニュートラル化に向けた検討報告書」が出来上がったと発表した。県やコンビナート企業などと昨年3月から4回の検討委員会で議論した内容をまとめた。四日市コンビナートが2050年にカーボンニュートラルを実現するために必要なグランドデザインを描いており、報告書は市のホームページにも掲載される。【市街地から望む四日市コンビナート=四日市市諏訪町】
報告書は冊子では46ページにまとめられており、検討委員会の設立背景、国内外の社会・経済状況、四日市コンビナートの現状や役割と可能性、検討委員会の取り組み、2050年に向けた四日市コンビナートの方向性などの項目で構成されている。
中心となる2050年へのグランドデザインは、1月の4回目の検討委員会で案が提示されており、おおむね2030年までに立ち上げ、2035年にかけて拡大、2050年にかけで確立させる。四日市コンビナートが行政など関係機関とともに、「エネルギーの脱炭素化・低炭素化」「化学品製造のプロセスの脱炭素化、低炭素化」「産業集積地の基盤整備/産業誘致」の基本施策方向性を目指すとしている。燃料の水素やアンモニアへの転換の試算もしており、2030年以降、四日市市でも水素やアンモニアが急速に需要を拡大すると見込んでいる。(報告書を掲げる森智広市長)
この1年間の検討では、SAF(持続可能な航空燃料)の製造、エチレンプラントで副生するガスの利活用という、コンビナート企業が主導したふたつの部会が生まれており、新年度は、これに「ケミカルリサイクル連携」「共同インフラ設備連携検討」「水素・アンモニア拠点化検討」「広域・他業種連携」の四つの部会を新設して加え、活動を続ける。検討委員会はあらたに「四日市コンビナートカーボンニュートラル化推進委員会」に改名し、年2回の会議を設ける予定だという。