今年度の「三十三ふるさと三重文化賞」の表彰式が3月1日、三重県四日市市の都ホテル四日市であり、美術部門(写真)で津市の田邉三郎さん(73)、美術部門(日本画)で桑名市の藤田哲也さん(44)、人文・民俗部門(考古学・史蹟)で四日市市の伊藤徳也さん(61)が受賞した。【表彰状を手に記念撮影に応じる田邉さん、藤田さん、伊藤さん(左から)=四日市市安島1丁目】
公益財団法人三十三ふるさと文化財団(岩間弘理事長)が社会貢献事業として平成元年度から始め、今回で34回目の贈呈。会場には財団関係者ら約25人が出席した。岩間理事長は、受賞者の業績を広く紹介するため、初の試みとして小冊子を作り、三十三銀行の支店で見てもらえるようにしたことを紹介し、「この賞が、さらに高みをめざして活動される受賞者のみなさんへの励ましになれば」などとあいさつした。
田邉さんは、1970年から本格的に写真作家活動を始め、人物、風景、動物、ドキュメンタリーなど多岐にわたる作風で活躍。「三重県展」知事賞や「二科展写真部展」特選などを獲得した。全日本写真連盟中部本部委員、二科会写真部三重支部長などを歴任し、県内各市の市展で審査員を務めるなどしている。「今後は、写真に限らず、地域の文化振興のお手伝いをさせていただきたい」とあいさつした。
藤田さんは、三重の風景を主題に、現地を取材して作品にしている。「みえ県展」最優秀賞などを獲得。県内市民展の審査員や日本画教室の講師を務め、県の芸術発展に貢献している。母校の愛知県立芸術大学では模写制作代表を務め、古典絵画の研究や後進の指導に当たっている。「世の中の状況が悪くなると文化芸術も難しいものとなるが、こうした時にこのような賞をいただき、作家にとって、とてもありがたいことです」と感謝の言葉を述べた。
伊藤さんは、1991年から三重県内の戦国期の城延べ456城を測量調査している。県北部を中心に90城を調査した「北伊勢国の城」、県南部の76城を調査した「志摩・南伊勢の城」などの著書を発表している。伝承が定かでない県内の160城について現在も調査を続けている。「目立たない私たちの活動ではあるが、そこに光を当てて頂いた。若い世代が引き継いでくれることも願っています」などと話した。