現在は四日市あすなろう鉄道が運営している内部線の100周年記念ウォーキング大会が2月26日あり、県外からの参加も含む約130人が参加した。ヤマトタケル伝説にも登場する急な坂道「杖衝坂」の途中にある「うつべ町かど博物館」では内部中学の生徒がおにぎりや記念品を配るおもてなしを手伝い、参加者たちは梅が咲く春と歴史の道歩きの両方を満喫した。【内部駅から歩き始める参加者のみなさん=四日市市小古曽3丁目】
「内部地区総合型地域スポーツクラブ うつべ☆スター」が主催し、内部地区まちづくり推進協議会、同地区市民センターなどが連携して開催。内部駅を出発する約3キロのAコース、内部東小学校を出発する約6キロのBコースに分かれて歩いた。内部駅での出発式では、「うつべ☆スター」の堀保会長が昔の駅周辺の様子を紹介、「きょうは景色と史跡の両方を堪能してください」とあいさつした。
Aコースでは途中、「まぼろしの采女駅」の場所を見学した。内部線が鈴鹿市まで伸びる計画があったそうで、結局、着手しないまま計画は消えたという。町かど博物館では、館内に内部地区の子どもたちが描いた電車の絵や、想像の乗り物の絵なども展示され、ウォーキングの参加者に見てもらった。(杖衝坂を上る参加者たち)
内部中学生が手渡した記念品は、学校で制作した萬古焼きであすなろう鉄道の電車の形にした箸置き。地区によると、箸置きを使わない食事が当たり前になり、いつも手に箸をもっていることで、早食いになるなど健康面に影響しているのではないかと、「食」の問題も考えて箸置きになる記念品にしたという。内部地区の小中学校などの卒業記念品にもなるという。(おにぎりや記念品を渡す内部中学の生徒、記念品は電車の形の箸置き)
博物館の前の坂を少し上ると「杖衝坂」の石碑や、芭蕉が詠んだ「歩行(かち)ならば杖つき坂を落馬かな」の句碑もあり、参加者はまちづくり推進協議会の諸戸靖会長から説明を聞いていた。さらに進むと、東海道101番目の「采女一里塚跡」の案内板があり、ここからは鈴鹿の山が展望できる。希望者はさらに先に進み、梅で知られる鈴鹿市の菅原神社まで歩いた。(うつべ町かど博物館の梅の花もウォーキング参加者をお出迎え)
内部線は1912年に日永駅まで開業したあと、1922年に内部駅までが開業した。三重軌道、三重鉄道、近鉄などの運営を経て、2015年から四日市あすなろう鉄道が運営しており、ナローゲージでも親しまれている。(采女一里塚跡あたりから見た鈴鹿山脈)