三重県四日市市在住のウクライナ女性、ポノマリョヴァ・アンナさん(34)が11月2日、県立四日市南高校で開かれた「ウクライナ平和講演会」で講師を務め、故郷のことを語った。体育館のスクリーンに数々の写真を映しての説明だったが、四季を楽しむ平和な時の人々の風景が、逆に、理不尽な今の状況を強く感じさせ、胸に迫った。【ウクライナの普段の生活について語るアンナさん=四日市市日永】
アンナさんは北東部スムイの出身。2011年に留学で日本を訪れ、18年から四日市に住でいる。国土や言語、有名なヒマワリ畑、郷土料理のボルシチなど幅広く紹介した。
冬のスケート遊びや雪人形づくり、春にはチェリーやリンゴの白い花が咲き、夏には川や海で泳ぎを楽しむ。秋になるとキノコ狩りもでき、四季を楽しそうに過ごす若者たちの笑顔がスクリーン上にまぶしい。
アンナさんは刺繍をほどこしたヴィシバンカと呼ばれる民族衣装を着て生徒たち300人余の前に。「多くは白地だが、私のような色づかいは現代ふうな着方」などと、変化していくウクライナの現代についても説明した。ヴィノクと呼ばれる髪飾りを手に取って見せる場面も。若い女性が祭りなどで身に着けるという。
アンナさんは講演の終盤、ロシアによる侵攻について触れた。だれにも勉強したり、ゆっくり眠ったりできる平和な暮らしをする権利がある、と涙をこらえながら語りかけ、「ウクライナのために祈ってください」とのメッセージで講演を締めくくった。
この日の講演会は同高校の「人権ロングホームルーム」の企画。生徒たちは事前にウクライナのことを調べ、アンナさんの話を聞いた。高校からの問い合わせに四日市国際交流センターが協力して実現したという。アンナさんは12日に西笹川中学校でも講師を務めるほか、13日に四日市市三浜文化会館で開かれる「三浜アートまつり」にも参加し、ウクライナカラーのロゼットづくりをする予定だという。