三重県四日市市の日永地区まちづくり構想策定委員会が10月18日、約3年半、議論を重ねて策定した構想を森智広市長に提案した。歴史文化の資源を守り、公園や緑地を活用して住民のふれあいを深める一方、交通渋滞の解消や治水対策の重要性を指摘している。市はこの構想の内容を踏まえ、今後1年ほどをかけて地区と協議し、市のマスタープランに反映させる。【まちづくり構想を森智広市長(左)に渡す林正次会長(右から2人目)ら策定委員会のみなさん】
日永地区は南北に走る旧東海道を軸に発展し、今も国道1号、あすなろう鉄道、JR関西線が走るなど、交通の要所だ。旧東海道の風景はもちろん、日永の追分、日永つんつく踊りなど、歴史や文化の資源にも恵まれている。一方で国道1号などの交通渋滞は慢性的で、1974年の集中豪雨時のような大規模な水の被害も起きている。
林正次会長は「コロナ禍で思ったように会議が開けなかったが、20数回の話し合いで近い将来への提案をつくった。いいところを市で取り上げ、地域の発展につなげてほしい」などと話した。
「東海道 人と人を結ぶまち 日永」をまちづくりの将来像に定めた今回の構想は、①歴史・文化・風景を伝える②緑の中に憩いとふれあいを生み出す③生活の快適さ、便利さを高める④災害に強く、安全な暮らしを守る、の四つのまちづくりの基本目標を立てた。
それぞれの具体策としては、①では、祭りなどを電子記録にして次世代に伝えることや、散策を楽しむ人が増えている旧東海道の整備を進め、案内施設、休憩施設を増やすことを求めている。②では、中央緑地、南部丘陵公園、泊山公園など地区にある公園や緑地を、障害者も含め行きやすいように整備する。小公園や広場の整備では、身近なふれあいの場として活用することも考えている。
③では、交通渋滞を解消するために、バスや鉄道の利便性を重視し、特にJR南四日市駅の周辺整備を挙げている。あすなろう鉄道のバリアフリー化や、高齢者が利用できるループバスについても言及した。④では、調整池や用水路の整備や内水氾濫の監視体制を強化することのほか、安全な避難経路を確保し、災害時用の案内板を設置することや防災機能を備えた施設、公園の防災倉庫設置なども求めた。