設立から25周年、葬儀を手掛ける株式会社ティア(本社・名古屋市北区)が四日市市東垂坂町に三重県内5会館目となる「ティア四日市垂坂」をオープンする。冨安徳久社長に事業にかける思い、展望などを聞いた。
愛知県出身の冨安社長は、高校卒業後、山口県内の国立大学に合格、下宿先も決まった入学までの間、葬儀のアルバイトをした。そこでその後の人生を決める出来事があった。葬儀が終わり遺族のもとへ集金に訪れた先輩に同行した際、ご遺族から「ありがとう」と感謝を伝えられる光景に「こんなに感謝される、なんて素晴らしい仕事だ」と感銘を受けた。入学直前で、大学には行かず、葬儀のアルバイトを続けた。仕事の中で、遺影に使う写真を決めたとき、先輩社員に「この方の趣味は何だったのか」と聞かれた際、返答出来なかったという。「亡くなられた時間などは答えられても、故人様の人生については何も分からない」、葬儀の仕事をするのは、故人様の人生と向き合うことであると感じ、その後の仕事への姿勢を作っていく土台となった。
その後、他の葬儀会社に勤務し、経験を積んでいったものの、不透明な価格設定などに疑問を持つように。「業界の常識は非常識と感じていた」と、会社を設立し、ご遺族に寄り添い、「理想のお見送り」への思いを重ねていった。
店舗展開をしながらも 根本的な思いを大切に 設立時、社名を「ご遺族の悲しみの涙を和らげたい」「悲しみの涙に寄り添うことを大事にしたい」との思いから、英語で涙を意味する「ティア」と決めた。「葬儀やセレモニー等の言葉を社名に入れなかったことに周囲から反対の声もありました」と当時を振り返る冨安社長。「適正価格」を打ち出し、10年以内に20店舗を目標に奮闘、計画通りに店舗数を増やした。24年目には名古屋市内で葬儀件数トップシェアとなった。
三重県内のティアは四日市垂坂で5会館目。経営的な視点では、ドミナント戦略といった部分もあるが、故人様へ「ありがとう」を伝える時間を充実させていくため、店舗展開を精力的に進めていく。「葬儀は最期の感謝を伝えるとき。きちんと送り出すため、ご遺族に向き合い、尽くす会社でありたい。業界の未来を創る、オピニオンリーダーとなっていきたい」と冨安社長は熱く語った。