四日市出身 白木健嗣さん 念願の作家デビュー「ヘパイストスの侍女」

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 四日市市出身で東京在住の会社員・白木健嗣さん(32)、「第14回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞作「ヘパイストスの侍女」が、光文社から刊行され、このほど作家デビューを果たした。サイバー犯罪対策課の捜査官と捜査一課の女性刑事が、自動運転車の不可解な死亡事故に絡む脅迫事件に、人工知能を使った世界初の捜査に挑むITミステリー。ソフトカバー、288ページ。税込2035円。

 白木さんは同市中部地区出身。幼少期は人並みに本を読む程度だったが、四日市西高校(同桜町)在学時に、読書の楽しさに目覚めた。大衆小説を読みふけるうちに、いつしか自分も「書きたい」と思うようになり、愛知淑徳大学文化創造学部(現・創造表現学部)に進学、芥川賞作家の諏訪哲史さん指導のもと、近代文学を学び創作活動に勤しんだ。

 卒業後は、地元のスーパーに就職したが、1年で退職。23歳頃に上京し、営業職を経て約6年前、未経験のIT職に就いた。社会人になって以来、忙しくて創作から遠ざかっていたが、一昨年末に、仕事が落ち着き時間ができたのを契機に一念発起。準備と執筆にそれぞれ約2か月をかけ、今作を書き上げた。「自動運転技術は、いつか使おうと温めていたテーマ。書いていない期間もプロットは、色々立てていたので、引き出しはまだまだある」。周囲からは早速「読んだよ。おもしろかった」と連絡があったと顔をほころばせた。

 今後は三重県を舞台に、ITから離れて全く別の切り口の作品も執筆してみたいという白木さん。現在帰省中で、会社のリモート勤務制度を使って平日は仕事、週末に取材活動をしている。「型にとらわれず、多様な本を出していきたい」とあふれる創作意欲を語った。

※2022年5月7日(207号)発行 紙面から