食でまちをつくる
近鉄四日市駅周辺で、飲食店を展開するサノプランニング(四日市市西新地)の佐野貴信社長(53)。グループ会社の「プラトンホテル四日市」の経営者でもある。コロナ禍で大打撃を受けながらも、業態変更や徹底した感染対策で「食で街をつくる」「次世代を育成しビジネスで活気をつくる」を掲げ、奮闘している。【諏訪パークビルについて話す佐野社長=四日市市諏訪栄町で】
2020年3月にWHOが新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言した後は「想像を絶する、当初はまさにパニック。得体の知らないものに襲われている感覚だった」と振り返る佐野社長。人流が止まり、経営する各飲食店やホテルの客足は激減した。昨年も第5波での緊急事態宣言、三重国体の中止で大きな影響を受けた。
その中でも、各店では三重県の認証制度「あんしんみえリア」などを取得し、感染対策に取り組んできた。ホテルでは、専用アプリによって利用者へ情報発信、クリスマスにはアプリダウンロードをした人にプレゼントを渡すなどした。また、10階をオンラインとオフラインを融合させた「コワーキングスペース事業」の展開を計画、ビジネスコミュニティを目指した動きも始まっている。
「飲食業はホスピタリティが大切。お客様のためにはまず、働く人も楽しめることが大事」と佐野社長。社員から「こんなことがしたい」と希望があれば、スタートアップを支援する。25年間の飲食業の経営ノウハウを惜しみなく伝えて新たな一歩を応援し、過去に何人もの従業員が独立を果たした。
個性をいかに出すか
昨年12月には、同社で社内独立をした人に店舗開発から任せ、事業委託をした飲食店「中華食堂 大感謝」がオープン。前店舗の「大感謝」の店名を「思い入れがある」と引き継ぎつつも、店主が新たな挑戦を果たした。今後は好みの多様化が進んでいることを踏まえ、店舗の個性をいかに出すかを重視していく。「サポートをしながら新しいことに挑戦できるフィールドを作るのも社の役割」と佐野社長。飲食事業主を後押しし、街の活性化を目指す。
同社は2018年4月、同市諏訪栄町に飲食店が入る複合ビル「諏訪パークビル」をオープンした。ここでも客足は昨年末、コロナ禍前の約7割まで回復した。今後について佐野社長は「飲食ビジネスを通じて四日市を更に盛り上げていきたい」と笑顔で話した。
(2022年1月15日発行YOUよっかいち第203号より)