諏訪新道の小さな図書室「USED BOOK BOX」一部破損で利用休止 再生への道、模索中

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【西側面下部のフレームが曲がってしまった「USED BOOK BOX」】

 四日市市諏訪町の商店街・諏訪新道で、「小さな図書室」として地域の人々に親しまれている廃止公衆電話ボックスを再利用した「USED BOOK BOX」が、2月初旬に起きた不慮の交通事故により、現在運用休止中だ。同ボックスを所有・管理する諏訪新道発展会は、こうした問題もポジティブに捉え、元来のレトロな外観を維持しつつ、より利用しやすいボックスの再生に向けて知恵を絞っている。

◆「ドーン」という音が

 2月3日、午後3時半頃のことだった。ボックス近くの店舗「スギノトーキ」店主の杉野哲嗣さんは、「ドーン」という音を聞いた。当初は、諏訪町の立体駐車場「スワセントラルパーキング」の老朽化による解体工事の音だと思ったが、実はやむを得ないトラブルで自動車がボックスに衝突したのだった。幸いドライバーにケガはなく、一安心。しかしボックスの西側下部のフレームが曲がり、窓ガラスが割れてしまった。

【事故当時の様子・杉野さん提供】

◆夏以降のリニューアルオープン目指す

 諏訪新道発展会が、本を介して地域の活性化を図ろうと、NTTから譲り受けた撤去予定の電話ボックスを改修し、「USED BOOK BOX」を設置して4年。携帯電話主流の現代、同様の電話ボックスを製作している会社もなく、補修や一部交換も困難であることが分かった。フレームの歪みからボックスを一から作り直す必要があり、費用もかかる。同発展会はボックス再生の道について話し合いを重ね、「人と人とのつながりを大切にしたい」と運用を始めたボックスにふさわしく、単にモノを置き換えるのではなく、理念に共感してくれる鉄工所やガラス店と一緒に再生を進めるべきとの方針を固めた。「デザインは踏襲しつつ、使いやすい仕様へと工夫を凝らしたい」。

 放課後に子どもたちが覗きにきたり、老若男女問わずドアを開けて棚の本に手を伸ばす姿が定着した「USED BOOK BOX」。応援や再生を期待する声も多く、すっかり諏訪新道になくてはならない存在になった。本の一時避難先に一役買っている杉野さんは、「夏以降のリニューアルオープンを目指しています。再開を楽しみにしてください」と語った。

【「利用休止のお知らせ」の張り紙】

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