卓越した工芸技術が四日市市無形文化財に指定された萬古焼の陶芸家、清水洋(三代 醉月)さん(81)が4月10日、この工芸技術でつくった「萬古縞文急須」を市に寄贈した。市は作品を来賓応接室に飾り、市を訪れた客らに見てもらう考え。
清水さんは妻きし代さん(78)と2人で市役所へ。森智広市長やシティプロモーション部の職員らに迎えられた。釉薬を使わずに焼いた急須の表面は、高圧で研磨剤を吹き付けるサンドブラストと呼ばれる手法で精密な縞文が描かれている。きし代さんによると、清水さんは、すでに50年ほど前から、この技法を何かに採り入れられないかと考えていたといい、それが無形文化財に指定される高みにまで到達したことになる。
応接室で森市長と懇談中に出された茶碗が、故井上哲夫元市長当時に清水さんが寄贈した作品といい、2人は「なつかしい。大事に使ってもらって」と話していた。鶴のデザインが描かれており、清水さんの作品が人気を高めていくころの作品だったそうだ。
清水さんは「今も元気に仕事ができていて、今回の指定もありがたく思っています。時代に合い、みなさんに求めてもらって初めて仕事になると思いますので、これからも頑張っていきたいと思います」などと話した。
清水さんの工芸技術の無形文化財指定は2月10日付で、この技法では、サンドブラストで削る深さを調整することで、削る前の器面の色を含め3色の色を表現することができ、金彩やプラチナ彩と併せると様々な紋様表現が可能となるという。
清水さんは「醉月陶苑」を構えており、日本伝統工芸展のほか国内外の陶芸展で賞を獲得しているほか、2016年のG7伊勢志摩サミットでの晩餐会で使われた酒杯を手がけたことでも知られる。