国立大学法人三重大学(三重県津市)と住友電装株式会社(同県四日市市)が4月9日、産学連携に関する包括協定を結んだ。今後、次世代を担う人材を育て、研究と実用化での協力により地域の課題を解決していくという。
三重大学構内の三翠会館でこの日、包括協定の締結式があり、調印と記者会見などがあった。締結式には三重大学から伊藤正明学長、森香津夫工学研究科長、住友電装から漆畑憲一代表取締役社長、八島崇常務執行役員が出席。伊藤学長と漆畑社長が協定書に署名するなどした。

伊藤学長は「国立大学も少子化で難しい時代を迎え、特色を打ち出す必要があるが、ものづくり産業が盛んな四日市にある住友電装とは、これまでも協力関係があり、多くの卒業生が採用されてもいる。そうした関係をより密にし、学生たちが学生であるうちに現場での経験をし、自らのすべきことを学んでいけるよう期待している」などと語った。
漆畑社長は、「人材育成、地域への貢献、研究開発の面で双方の強みを生かし、未来志向で進めたい。カーボンニュートラルやDXなどの課題に対しても、アカデミックな知見と我々の力を融合して、社会課題解決に尽くしていきたい」などと語った。
三重大学、住友電装の両者とも、これまでに幾つかの企業・大学連携のネットワークを築いてきているというが、漆畑社長によると、住友電装にとっては、国立大学との包括という形での連携協定は初めてになるかも知れないという。記者から、実際にどんな研究をしていくのかとの質問もあり、三重大学側から、ロボットなどによる労働環境の支援に関する研究がすでに始まっているとの説明があった。
三重大学は1949年の開学で、目標のひとつに社会貢献を掲げている。住友電装は1917年の創業で、ワイヤーハーネスなどで自動車産業の発展を支えている。