救急出動の増加に対応するため、三重県の四日市市消防本部が、とくに出動要請が多い平日の日中に勤務する「日勤救急隊」を創設し、4月1日から運用を始めた。救急車で出動する1隊を増やすことで現場到着時間の短縮につながり、日中の出動を日勤救急隊が優先して行うことで、深夜や未明を含む24時間体制で勤務している救急隊員たち全体の負担を軽くするため、救急出動の質的な向上も図れるという。
市消防本部の中でも出動件数が全体の約3分の1と最も多い中消防署に配置した。午前8時半から午後5時15分までの勤務で、土日などは休み。初の日勤救急隊の隊員に選出されたのは、矢田久一さん(60)、渡邉英雄さん(45)、樋口雄二さん(43)、村木聡陽さん(27)の4人。全員が救急車の中でけが人や病気の人に救急救命処置ができる救急救命士の資格を取っている。通常は3人が1チームとなって救急車で出動するが、大きな救急事案の場合は4人全員で出動することもできるという。
また、出動要請が最も多い中消防署で救急車が出動中の場合、次の要請があると北消防署や南消防署など遠い所から市内に向けて救急車が走ることになるが、日勤救急隊を配置したことで、まず日勤救急隊、次に中消防署の24時間体制の隊員たちが出動という形になって、全体として現場への到着時間を短縮できる期待が大きいという。
一方、消防本部によると、1日あたりの平均出動件数は48.2件(2023年中)。隊員1人あたりでは、ある隊員の経験的な感覚だが、中消防署の場合、1日あたり平均10数回になるという。出動は深夜や未明もあり、勤務を続ければ心身への負担も重い。日勤救急隊が日中、先陣を切って出動することで、24時間勤務の隊員の負担軽減につながり、心身の状態を良好に保っての出動が増えれば、市民サービスの向上になるという。
高齢化や働き方改革への対策としても期待されている。消防組織も定年延長などで高齢の働き手が増えるなか、深夜や未明の勤務がない日勤救急隊はひとつの働く選択肢になる。育休明けの女性隊員などの働き方としても期待できるという。日勤救急隊は現在、全国700余の消防のなかの1割強で採用されているといい、三重県では四日市市は津市に次ぐ創設だという。