一般社団法人ウネシャルは3月20日、児童養護施設で暮らす中高生を対象とした料理教室「お鍋ひとつで大丈夫!一人暮らしの簡単クッキング」を児童養護施設エスペランス四日市(四日市市泊村)で開いた。児童養護施設の退所を10日後に控えた人も参加し、1人暮らしへの不安に応えた。

料理教室は、同法人の児童養護施設で暮らす子どもたちをサポートする、自立支援サポートプロジェクト「IPPO(いっぽ)」の初めての企画。三十三銀行NPO応援基金の寄付を受けている。エスペランス四日市で希望者を募り、高校3年生3人、中学生1人が参加した。

〔米の水加減を聞く参加者〕
調理師2人が講師を務め、包丁の握り方や、米の研ぎ方と炊く時の必要な水の測り方などを実演した後、参加者が挑戦。揃えておくと便利な調味料など、初めての一人暮らしに役立つ情報も伝えた。養護施設でレクリエーションとしてお菓子作りをすることはあるが、普段の食事は調理師が作る。施設の職員は「自立に向けて料理を教えたいが、職員も調理のできるレベルが違うし、専門的な知識もない。プロに教えてもらい助かる」と話す。

〔包丁の握り方を聞く参加者〕
この日はご飯を炊き、味噌汁を作ったが、最初はぎこちなく包丁を握っていた人も、何度か野菜を切るうちに、上手に切れるようになっていた。あと10日ほどで施設を退所し、一人暮らしをする男性は、真剣そのもの。調理師におにぎりをきれいな三角に握る方法を聞いていた。「調味料は何を買ったらいいか分からなかったが、教えてもらって、タイミングが良かった。出来立ての味噌汁やおにぎりは本当に美味しい」と話していた。

〔おにぎりに海苔を巻く参加者〕
同法人代表理事の福本由紀さん(40)は「やってみないと分からないことも多く、今日の教室で少しでも疑問が解決できたらうれしい」と語った。今後は不動産会社による賃貸住宅の借り方、社会保険労務士による働き方などの講座を、2カ月に1回のペースで開催予定。また児童養護施設だけでなく、一般家庭の中学生や高校生にも自立支援サポート事業を進めていくことも視野に入れている。同法人では協力できる企業や個人を募っている。問い合わせは同法人(☎090・7695・0119)まで。