「ご近所歴史旅」のススメ 中世~昭和まで触れる展示充実 東海道四日市宿資料館

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【江戸時代の道具を紹介する長谷川館長と語り部ら】

 三重県四日市市北町、旧福生医院の白い洋館風の建物が目に飛び込む。2019年6月の開館以来、徐々に展示品を充実させ、見ごたえが増す東海道四日市宿資料館(長谷川博久館長)だ。東海道43番目の宿場四日市の歴史や文化の継承を目的に、展示品の入れ替えや見せ方にも工夫を凝らす。20~80歳代まで十数人がそろう語り部スタッフの案内で「ご近所歴史旅」、してみませんか?


◆中世から昭和まで500点以上の展示

 江戸時代に大名の家臣が主君の用事で他家へ行く時に乗った権門駕籠(けんもんかご)を始め、東海道の旅や地域芸能資料、懐かしい昭和のおもちゃや道具まで500点を超える展示品が所狭しと並ぶ。多くは実際に触れることができ、歴史好きの来館者を楽しませている。

【手前が江戸時代の駕籠の空中展示や旅の道具。奥には中世~昭和までの展示品】

◆四日市の名所づくりに尽力してきた館長 見せ方に工夫

 受付を済ませると、中央に空中展示された駕籠や、左手の図書コーナー前に設置された飛脚の衣装が目を引く。「江戸と大阪を月に三度行き来する『三度定飛脚』の出で立ちです。飛脚箱の棹は、少しでも軽くするために中が空洞なんですよ」と、長谷川館長。書状を入れる引き出しを実際に開け閉めすることもできる。館長は地域の歴史や文化を研究して掘り起こし、浜田城址「冠木門(かぶきもん)」を建立するなど四日市の名所づくりに尽力してきた人物。手に入れた品をどのように展示するかなどの構想に余念がない。

【(上から)三度笠・合羽・飛脚箱】

 コロナ禍には、悪疫退散にご利益があるという元三大師やアマビエの展示を充実させた。最近お目見えしたのは、四日市の被害も載っている嘉永7(1854)年の大地震の瓦版。ほとんど現存しない貴重な品で、3年前に入手したが内容の解読やわかりやすい説明作成に時間がかかったという。

【嘉永7(1854)年の大地震瓦版(上)と解説。「四日市」の記述が確認できる】

◆2階も必見の企画展示 

 2階には季節の展示や、絵馬展、「昔日の四日市」写真展、昔の玩具・道具コーナーがある。記者が訪れたのは2月下旬、「今は春の節句人形をぜひ見てほしい」と語り部スタッフに誘われ、館長が知人から譲り受けた昭和10年の「きらびやかなだけでなく、昔話や教訓が物語られた人形」3種を紹介してもらった。山吹・桜・雀。春が舞台の物語について、語り部の情緒豊かな解説に耳を傾け理解を深めたい。

【春の節句人形の展示】

【昔の活版印刷用の活字やテープレコーダー、電気コンロなど】

◆一期一会大切に 語り部活動

 館内には伊勢型紙や俳画など語り部の作品も飾られ、来館者との交流に一役買っている。「色々な話に花が咲き、教えてもらうことも多い」「今後も一期一会を大切に活動したい」と語り部の小川裕子さんと森万紀さん。長谷川館長も「旅をするようにゆっくり見て触って、東海道の歴史を楽しんでほしい」と話している。

【旧福生医院の建物を活用した資料館外観】

 開館は年末年始を除く日曜日の午前9時~午後4時(入館は午後3時半まで)。入場無料。

 公式サイト(https://toukaidou-yokkaichishuku.amebaownd.com/)内で、語り部が毎日更新しているブログも旅の道標におススメ。

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