国連大学のマルワラ学長が四日市公害と環境未来館を見学、意見交換も

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【四日市公害の展示について説明を聞くマルワラ学長と山口しのぶさん=四日市市安島1丁目】

 三重県四日市市の「四日市公害と環境未来館」に3月11日、国連大学のチリツィ・マルワラ学長が来訪し、公害の記録や展示を見学した。環境に対する人々の向き合い方をより強くしてもらおうと、日本の全都道府県を順に訪問中だといい、三重県の訪問は初めてという。三重県、四日市市、ICETT(国際環境技術移転センター)の職員らと意見交換もした。

 国連大学は日本に本部を置く唯一の国連機関で、大学院レベルの教育、研究機関でもある。共同研究や教育を通じ、人類が直面する地球規模の課題の解決に寄与する目的を持ち、国連とその加盟国に政策提言をしている。

 マルワラ学長は南アフリカ生まれで、国連大学では第7代学長。この3月で日本は3年目に入ったという。人工知能(AI)の専門家でもあり、前職はヨハネスブルグ大学の副学長という。国連大学の学長に赴任して以降、今回が日本では16番目の都道府県になるという。山口しのぶ国連大学サステイナビリティ高等研究所長と堀尾多香同高等研究所大学院プログラム事務局長が同行した。

 マルワラ学長は、四日市公害当時の塩浜小学校の教室を再現した研修・実習室で森智広市長とあいさつを交わし、国際的に持続可能な開発目標への進展が停滞気味ななか、公害を克服してきた四日市の取り組みは重要な事例だと語り、関心を示した。

再現されたうがい用の流し場の説明を聞くマルワラ学長

 マルワラ学長は、研修・実習室に再現された、当時の小学生が何度もうがいをしていた流し場を見たあと、川北高実館長の案内で四日市公害の展示などを見学、時間をかけて、じっくりと説明を聞いていた。

 意見交換では、日本の公害対策の取り組みや、産業の発展と環境保全を両立させてきた四日市公害の改善の取り組みなどを、今後の持続可能な社会の構築への参考にしようとするやりとりがされたという。

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