「四日市港写真講座」(四日市港管理組合主催)が2月19日、四日市市なやプラザ(同市蔵町)と四日市旧港相生橋付近で開かれ、参加した写真愛好家らが撮影の心構えや印象的な夕景・夜景写真の撮り方を学んだ。「こう撮ればいいのか」「劇的によくなった」。講師の日本写真講師協会フォトインストラクター・横井孝博さんの手ほどきで撮れた写真やいかに。
◆「何をどう撮りたいか」ですべてが決まる
講座当日、自己紹介後に早速始まった座学。横井さんは、プロジェクタ―で作例を示しながら「何をどう表現したいのかという自分の気持ちが一番大切。それによってアングルや絞りなどすべてが決まる」と解説。「1本のバラがあるとして華やかに撮りたいと感じたか、1本しかない寂しさを表したいと思うか。さてどう撮る?」。参加者らは、「花を真ん中に大きく撮る」「明るめに撮る」(華やかの場合)、「空間をたくさん取って引きで撮る」「モノクロで」(寂しくの場合)など、活発に意見を出した。「しっかり風景を見て、どう撮りたいか考えてみて。工夫やポイントがないと、何を撮った写真なのかわかりづらくなります」。
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【座学の最後に三脚の扱い方・立て方を実習】
◆カメラ設定を生かして自分のイメージ通りの写真を
1時間の座学を終え、いよいよ実践へ。四日市旧港付近の撮影ポイント、開栄橋と相生橋に徒歩で移動する。強烈な寒波の影響で前夜から雪が降り、午前中は積雪も見られた四日市市内。写真講座一行が撮影に出た夕刻には雪は止んでいたが、冷え込みは相当なもの。「寒い」「手袋持ってくればよかった」とこぼしながらも、全員が風景写真好きとあって、橋に着くと意気揚々と散開し、撮影を開始した。
「露出(レンズに取り込まれる光の量)をマイナスにすると夕日の色を濃く表現できますよ」、「雲の形にも注目してみて」、「水面への映り込みや影を生かしてみて」。横井さんは参加者のカメラの液晶モニターを見てアドバイスしていく。「夕景の時は、刻々と露出が変わるので、臨機応変に」。「ホワイトバランス(色温度調整)を変えて、色味の変化を楽しんでみて」。
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【おもしろい雲の形や水面に映る橋を狙う】
◆「今までとテイストの違う写真が撮れた」
市内在住の会社員・川口裕治さん(55)は、昔から鉄道・飛行機・風景・花・夜景など幅広く撮影を楽しんできた。「我流で、最近のカメラの機能を使い切れていない。他の人の撮り方や作品を参考にしてみたくて」参加した。「色温度調整でテイストの違う写真が撮れた。参加者の皆さんと交流できて楽しかったです」と語った。
同じく市内在住で、定年を機に、以前の趣味だったフィルムカメラとビデオカメラをデジタル一眼レフに持ち替え、風景や季節の花、鉄道、旅行写真などを撮っている大森明さん(74)は、「今までは、何を強調したいかが漠然としていた。今回、相生橋からの工場夜景を車の光跡を入れつつバランスよく撮るという工夫ができた」と話した。
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【講座に参加した川口裕治さんの作品。ホワイトバランスは「蛍光灯」に設定】
同講座は、四日市港やコンビナートの幻想的な夜景に親しんでもらおうと、2013年度に始まり10回目(コロナ禍で2020、21年は中止)。毎年、2月23日の「工場夜景の日」にちなんで、2月下旬頃に開催している。