津波避難タワーや広域避難のあり方などで要望、四日市市自治会連合会

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【森智広市長に要望の文書を手渡す自治会連合会の山路和良会長(右)ら=四日市市役所】

 三重県の四日市市自治会連合会(山路和良会長)は2月18日、森智広市長を訪ね、「津波避難施設のあり方と災害時の避難体制についての要望」を文書で提出した。4地区(橋北、富田、富洲原、楠)では津波避難タワーの建設を求める意見が強いとし、検討を求めた。内陸部の地区が沿岸部から避難してきた人を受け入れられるよう、食糧や水など備蓄のあり方や、災害時の非常用トイレの充実についても求めがあった。

 連合会は山路会長と副会長5人が市役所を訪れ、文書の要点を山路会長が読み上げて、森市長に手渡した。山路会長は「4地区の中でも特に富田、富洲原では、高齢化に伴う不安などもあり、近くに津波避難タワーがあることを望む声が強かった」と説明した。森市長は「対策は論理的に進めないといけないが、地域の気持ちも分かるので、こちらでも検討したい」と答えた。

 四日市市は、南海トラフ地震が発生した場合、70数分後に津波が到達すると想定されている。このため、この時間差を利用し、できるだけ標高の高い西側の内陸部に逃げることを市民に求めている。津波が押し寄せる低地に津波避難タワーを建設するより、市内の海岸線近くにある既存のビルなど高層の建物を、いざという時の逃げ場とする「津波避難ビル」として使う方が現実的と考え、約130カ所にまで増やしてきた。

 仮に津波避難タワーを建設しても、津波襲来からしばらくは降りることができず、タワーには十分な食糧や水が望めず、雨風も防げないとして、市は津波避難タワー建設には積極的ではない。一方で、連合会によると、地域からは「周辺の市町でもタワーがあるのに四日市にはひとつもない」という声が出ているという。

 広域避難のあり方などについても要望が出た。沿岸部の市民が内陸部に逃げてきた場合、備蓄の食糧や水などを提供して足りなくなり、地元の避難者との摩擦が起きることは防ぎたいとして、自治会側からは、十分な備蓄などを行政で考えてほしいとの意見があった。災害時には多くの家庭でトイレが使えない状況になることが予想されるため、マンホールトイレ、トイレカー、トイレトレーラーなどの緊急時の備えの充実を求める意見も出された。

 四日市市自治会連合会は、2022年度から市内の津波浸水想定区域に該当する13地区と内陸部の2地区の計15地区で「津波避難施設のあり方検討委員会」を立ち上げ、検討を続けてきた。防災関係での要望は、連合会としては今回が初になるという。

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