第10回いせ人権映画祭 四日市や菰野発の作品が優秀脚本賞など受賞

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【受賞を喜ぶ市川さん夫妻(左)と菰野ふるさと映画塾の4人】

 第10回いせ人権映画祭が三重県伊勢市黒瀬町、いせトピア多目的ホールで開催され、応募作から選ばれた10作品の上映と各賞の発表が行われた。映画監督の瀬木直貴さんが講評し、四日市市で自主映画の制作をしている市川良也さんが優秀脚本賞と優秀編集賞を、「菰野ふるさと映画塾」がファミリー賞を受賞した。

 映画祭は2月1日に伊勢市主催で開催された。映像制作・鑑賞を通して人権に対する意識の啓発と人権感覚の向上を目的に2016年に始まり、伊勢学園高校ボランティア部や宇治山田商業高校放送部、皇学館大学美術部など近隣の高校・大学による若い力に支えられ、節目の10回を迎えた。三重県からは四日市市の市川さんと菰野町の同映画塾、松阪市のアマチュア映像制作団体「映像CUBE」、三重高校放送部、桜丘高校放送部、伊勢高校放送部の作品が上映作品に選ばれたほか、千葉県や神奈川県からの参加作品もあった。

 初回からコメンテーターを務めている瀬木監督は、「映画は複眼的に見るものであり、1人の感想でしかないが」と断りつつ、コロナ禍で将来の夢や目標に迷う高校生や家族の姿を描いた市川さんの作品「ませるな危険」について、「映画の要素がぎゅっと詰まっており、コロナ禍の疎外感や孤立感が表現されていた。市川版『君たちはどう生きるか』とも言える。すばらしい構成」と絶賛した。

 3日間の合宿で制作した菰野ふるさと映画塾の「おばぁちゃんのぬか漬け」は、未来に残したいふるさとの風景と共に、家族の向き合い方を描いた作品。父親役で出演した松山知司さんは「瀬木監督の『小道具や美術をうまく使いながら細かい演出をしている』という講評を聞いて、改めて撮影中の苦労を思い出した。いい経験になった」と笑顔を見せた。

【瀬木監督から「ファミリー賞」の賞状を受け取る松山さん(右)】
 
 瀬木監督は「日本文化と映画の原風景」と題した記念講演で、「千年火」(2004年)や「ROUTE42」(2012年)など自身の作品を紹介しながら、そこに描いた炎や海の印象的な光景を「人間がコントロールできない不思議な魅力のあるもの、生と死の境界線」と説き、「目に見えない別の世界に普段から向き合っていることを誇りに思ってほしい」とクリエイターらにエールを送った。

【講演する瀬木監督】
 

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