SNSを使ったロマンス詐欺の被害を食い止めたとして、三重県警四日市南署は1月30日、百五銀行四日市支店と、対応した行員に感謝状を贈った。二度にわたる多額の振り込みをしようとするのを不審に思い、思いとどまるように説得したという。
感謝状贈呈式がこの日、南署であり、近藤隆則支店長(51)と行員の水本七彩さん(22)に中西通署長が感謝状を手渡した。中西署長は「SNS型投資ロマンス詐欺の被害は急増しており、今回は、まさに最後の砦で被害を防いでいただいた」とお礼を述べた。
同署などによると、50歳代の女性が昨年12月9日に同支店を訪れ、約95万円の振り込みをした。水本さんが窓口で対応したが、「着物代」とのことだった。ところが、12月24日にも訪れ、今度は「弁護士費用」の理由で260万円を振り込むという。水本さんが話を聞くと、「SNSで知り合ったフランスにいる恋人にお金を送る」と話すので、詐欺を疑い、上司に連絡、警察官を呼んでもらったという。
振り込みができず、女性は納得した様子ではなかったが、翌25日、再び同じ目的で来店したため、支店から再度、警察に通報し、説得の末、詐欺被害を防ぐことができたという。SNSでは、男性はフランス人の医師だと名乗っていたというが、振込先は日本国内だったという。
水本さんは、昨春の入行で、窓口の仕事は11月から。詐欺を疑う場面に出会ったのは初めての体験だったという。「女性にとってはロマンスでもあったので、心が傷つくようなことがなければと思います」と女性を気遣った。近藤支店長は「大切な預金を守れるよう、これからも積極的に声をかけていきたい」と話していた。
南署によると、昨年1年間の三重県内のSNS型投資ロマンス詐欺の被害(暫定値)は302件で、額にして約27億820万円。対前年比で件数が183件、被害額が15億4840万円、それぞれ増えており、急激な拡大だ。四日市南署管内だけでも昨年は24件、1憶6810万円の被害があったという。