四日市市いじめ問題対策連絡協議会が1月23日、三重県の同市役所であり、警察署、児童相談所、法務局、人権擁護委員協議会、小・中学校長会、市などの関係者が集まった。市内のいじめ認知件数は、アンケート調査から細やかに拾い出すよう分析の基準を変更したことで、2022、2023年度ともに数字は大きくなった。その分、児童や生徒に気を配るタイミングが早くなり、その後の解決につながっていると報告された。
報告によると、いじめ認知件数は2022年度が小学校1314件、中学校268件で、2023年度が小学校1959件、中学校673件。それ以前の3年間は、小学校409~498件、中学校163~182件で推移しており、この2年の数字は大きく増加した。
これは、この間に、「児童生徒が心身の苦痛を感じていればいじめである」「暴力行為やけんかなどを単なる問題行動やトラブルとして捉えるのではなく、その児童生徒が嫌な思いをしているならいじめとして認知すべきである」との認識が各校に浸透し、アンケート調査などから細かくいじめを拾うようになったことが影響しているという。
市教育委員会は、小学4年~中学3年を対象に、いじめ防止標語を募集しており、最優秀作品は啓発用のぼり旗にしている。標語づくりをきっかけに、いじめを許さない環境づくりに活用しているという。
いじめ調査は毎学期1回以上、全児童生徒に実施。調査をデジタル化して、いじめのリスクをアラートとして可視化できるシステムの導入を広げた。いじめ調査のデジタル化は、児童生徒が学習で使うタブレット端末で調査することで、システムが第三者的にいじめのリスクを判断してアラートを出し、早期発見につながるという。教師らの先入観を排し、早期の対策につながっているといい、子どもが安心してSOSを出せる場にもなっているとの報告もあった。
いじめ予防授業(チェンジャーズプロジェクト)と呼ばれる、独自に開発された仮想事例の教材で、児童生徒がいじめの予防を議論できるようにする試みも一部の学校で先行的に進められている。毎日の心の状態を「晴れ・くもり・雨・雷」などの天気で表す機能をもつ「スクールライフノート」の導入で生徒の変化に目配りをする試みも報告された。