三重県四日市市のユマニテク調理製菓専門学校の学生レストランで1月22日、まもなく卒業を迎える総合調理学科2年生がつくる学びの集大成となるランチ提供が始まった。初日は日本料理で、見た目も美しい数々の料理を60人余のお客様が楽しんだ。
浜田町にある同校には、料理をつくり、お客様にサービスすることを総合的に学ぶ実践棟「伊勢志摩地中海クッキングラボ」があり、学生たちはここで日本料理、中国料理、西洋料理の基本などを学んでいる。日ごろから学生レストランのランチとして提供しているが、今回は、2年間に学んだ技術と感性のすべてを込めてつくる特別なランチになっている。
この日の日本料理は、大阪板前割烹いまむら、名古屋観光ホテル日本料理呉竹などを経て、現在、松阪市の居酒屋割烹新粋の料理長を務める伊藤悠さんが監修した。献立は、学生たちが学んできた技術をフル回転させつつ、「春」をコンセプトとして感じさせる内容。山菜の「うるい」や「たらの芽」、「公魚(ワカサギ)」「鰆(サワラ)」などが口取りや揚げ物などの料理になってテーブルに運ばれた。
伊藤さんは、2年生になったばかりのころに比べ、品数や難度の上がった料理に学生たちがしっかり対応しており、成長ぶりを感じたという。「卒業したあとも、最初は大変だし、時には苦しい時もあるだろうが、歯を食いしばって途中でやめず、がんばってほしい」とエールを送っていた。
今回の料理では、四日市市で伝統的な木桶仕込みの製造をしている味噌・醤油の蔵元「伊勢蔵」の丸大豆醤油(たまり)、香るぽんず、豆麹味噌などが使われた。同校との初のコラボでもあり、「伊勢蔵」の式井一博社長も学生レストランで食事をした。「味噌もやわらかく、しっかりうまみも感じられる。全体的に学生の料理の枠を飛び出し、想像以上です。うちの商品がどう使えるかについても、たくさんヒントをもらいました」と話していた。
集大成のランチとあって、この日は学生の保護者や、アルバイト先の仲間もお客様として食事を楽しんだ。娘さんの料理を味わった母の鈴木美紀さんと祖母の渡辺久子さんは、「野菜の切り方もとてもきれいで、全部おいしかったです」と、娘さんの成長をしっかり感じられたようだ。
前日は「海老真丈」の仕込みをし、この日、サービスの全体に気配りを見せた2年生の井上颯太さん(20)は、「料理を提供する時にお待たせしないよう、最後なので悔いのないようにしようと思って臨みました」。サービスのチームのみんな、それができていたと話していた。
集大成のランチは、1月24日に中国料理、同31日に西洋料理が提供される。事前予約はすでに終わっている。