最後の挑戦 「金」の花咲く 技能五輪・和裁部門  諸岡美有さん 

【東亜和裁四日市支部で作業をする諸岡さん=四日市市浜田町】

 技能五輪全国大会の和裁部門で、四日市市で指導員をしている諸岡美有さん(24)が日本一にあたる「金賞」を獲得した。この大会、諸岡さんは2022、23年と2回連続で「銀賞」になっており、年齢により出場資格が最後となる昨年、ついに頂上に立ち、喜びをかみしめた。

 諸岡さんは菰野町在住で、技能士を育成する「東亜和裁」の四日市支部(同市浜田町)で指導員を務めている。愛知県で昨年11月に開催された「第62回技能五輪全国大会」(厚生労働省主催)に三重県代表として出場し、「金賞」(厚生労働大臣賞)を受賞した。

 技能五輪には様々な部門があり、基本的に23歳以下が出場資格だが、和裁のみ24歳以下となっている。2日間の日程で、1日目は6時間、2日目は3時間の合計9時間で、2枚の生地を縫い合わせる裏地付きの「袷(あわせ)着物」の出来栄えを競う。

 針仕事の技術はもちろん、長時間の集中を支える体力や集中力が必要で、諸岡さんはラジオを流しながら作業をしたり、本番と同じ時間で仕立てる練習をしたりして大会に備えた。

 前回大会では、袖口の下部分が思うようにいかないことがあり、今回は縫い方を変えるなど工夫した。技能五輪以外の全国規模の大会やコンクールにも出場経験があるが、結果は「銀賞」が多く、年齢的に最後の機会で技能五輪の「金」を手にしたことで、知人や生徒、高校時代の恩師からお祝いの言葉が届き、「銀の呪いがとけたかもね」と喜んでくれたそうだ。

 小学生のころから羊毛フェルトで小物を作ったりし、中学時代には巾着やトートバッグも自作した。祖父が反物を仕立てる仕事をしていたことも影響し、高校では服飾を学んだ。洋裁にも興味があったが、今の職場を知って、進路を決めた。

 着物を仕立てる際の縫い方などは千差万別で、自身も自分に合った縫い方を探してきたように、生徒にも自分に合う縫い方が見つけられるよう、指導しているという。

 今でも仕事以外で小物を作るなど、諸岡さんにとって和裁はまさにライフワーク。これからの目標として結婚式などで着る「打掛」に挑戦したいそうで、「まだまだ自分の腕は伸びると思うので、縫い方などを練習しています」と話している。

【賞状を手にする諸岡さん】

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