三重県四日市市議会の人権施策等調査特別委員会は、現行の「四日市市部落差別をはじめとするあらゆる差別を無くすことを目指す条例」の改正を求めるなどの内容をまとめた報告書を議長あてに提出した。市側に対し、おおむね2年をめどに条例改正案の作成に最大限の努力をするよう求めている。
市の現行条例は1997年に制定されたが、その後の時代や社会の変化もあり、特別委員会は、そうした変化に合わせた表現や内容となるよう改正することについて意見集約をした。2023年9月から13回の会議を開き、専門家を招いて意見を聞き、委員間での討議を重ねた。「人権の互いの尊重を規定すべき」「セクハラ、パワハラ、カスハラなどのハラスメントも含め幅広く定義してはどうか」「インターネット上の人権侵害に対応する規定もすべきでは」「第三者機関の独自の設置を検討すべきでは」などの意見が交わされたという。
報告書は2024年12月25日付で樋口博己委員長名で石川善己議長に提出された。委員会は「同和対策事業特別措置法の財政措置によるハード的な環境整備が進んだ一方で、人権意識は簡単に変えられるものではなく、現在でも様々な課題が残っていることから、これからも地域の特性に応じた取組や人権教育などを継続していく必要があります」などと改正への思いをまとめている。
委員会は、条例改正については行政(市)側が主体的に提案してほしいとの考えから、改正案文そのものは提案せず、委員会で議論した条例名と前文の案を別添資料の形でまとめた。改正条例名は「部落差別をはじめとするあらゆる差別を無くし、人権が尊重される四日市をつくる条例」で、前文案は、全ての人間は生まれながらにして自由などとする世界人権宣言の趣旨を掲げ、今もなお存在する部落差別をはじめとする様々な不当な差別の解消に向けて、私たち一人一人が相互に人格と個性を尊重し合いながら支え合うために、たゆまぬ努力を続けることを決意する、などの内容になっている。